COBOL

COBOLについて

COBOL（コボル）は、1959年にアメリカ国防総省の提案に基づき、事務処理用として開発されたプログラミング言語です。その名称は「Common Business Oriented Language」から取られています。COBOLは、非理系の事務職の人々も運用できるように設計されており、自然言語に近い構文を特徴としています。特に事務処理における数値計算や文字列の処理に強みを持っています。

特徴

COBOLの構文は、人間の理解を考慮したデザインであり、そのため可読性が高く、ソースコードは本のように階層的に整理されて記述されます。他の多くの言語に比べて記述は冗長になることが多いですが、その分、コードを読みやすくする工夫がされています。文法は英語に近く、数学的な知識が少ない人でも比較的容易にプログラムを書くことが可能です。その一方で、リフレクションや高度な論理制御機能に欠けるため、モダンな言語と比較すると機能が制限されています。とはいえ、文字列の操作や帳票の生成、画面の編集など、事務処理に特化した機能は非常に豊富です。

開発と進化

COBOLは長年にわたり改良が続けられ、2002年以降にはオブジェクト指向プログラミングにも対応しています。このようにして、部品性が向上し、現代のニーズにも応える形で進化しています。しかし、実際のプロジェクトにおいては、COBOLそのものの機能の不足よりも、システムの運用面や保守体制の整備が課題となることが一般的です。

COBOLの特徴的な点として、その歴史の長さと膨大な数のプログラムが存在することが挙げられます。世界中で運用されているCOBOLプログラムは、企業や政府機関において数十年にわたって継続的に開発され、稼働し続けています。特に金融業界や行政などにおいては、依然として重用されています。

COBOLの利用現状

近年、COBOLプログラムはフォーチュン500企業の約90%で利用されており、商用データやトランザクションの処理においても重要な役割を果たしています。特にメインフレームコンピュータでは、全体の70%のトランザクションがCOBOLを介して処理されています。しかし、この大規模なCOBOL資産を保守し、新技術に対応させることが難しいという側面もあります。実際、COBOLの開発者は85万人を超えるものの、技術者の減少が進んでいるため、今後の人材確保が課題です。

COBOLの誕生背景

COBOLの誕生は、1950年代の事務処理言語が各社で異なっていた状況を背景に、共通の言語の必要性が認識された結果です。アメリカ国防総省の提案に応じて、CODASYL（Conference on Data Systems Languages）が設立され、COBOLが開発されました。1960年には最初の仕様書が承認され、世に広まりました。

COBOLのエピソード

COBOLの冗長性や特異性は時に話題に上り、計算機科学者のエドガー・ダイクストラからは「COBOLを使うことで人は無能になる」と批判されています。また、COBOLの誕生50周年を祝うイベントも行われるなど、長い歴史を持ちながらもなお現役のプログラミング言語として存在感を示しています。

結論

こうしたことから、COBOLは今日でも多くの企業や政府機関で利用され続けており、適切な管理がなされれば、その重要性はこれからも続くことでしょう。現代のニーズに寄り添いながら、進化を続けるCOBOLは、今後も関係者の手によって保守されるべき重要な資産といえます。

もう一度検索