全国手話検定試験

全国手話検定試験の概要

全国手話検定試験は、社会福祉法人全国手話研修センターが実施する、手話学習者のコミュニケーション能力を評価する検定試験です。一般には全国手話検定と呼ばれ、手話に関する検定の中でも、ろう者との円滑なコミュニケーション能力に焦点を当てている点が特徴です。単なる手話の知識だけでなく、面接官との実際の会話を通して、ろう者とどれほど円滑に意思疎通できるかを評価する試験であるため、手話技能検定とは明確に区別されています。試験は年1回、10月頃に実施され、愛らしいペンギンがイメージキャラクターとして親しまれています。

試験の目的と評価

本試験の大きな目的は、受験者のろう者とのコミュニケーション能力を客観的に評価することにあります。そのため、試験内容は手話による表現力や理解力に加え、面接官との自然な会話能力を重視した構成となっています。これは、手話通訳の技能とは異なる、より幅広いコミュニケーション能力を測ることを目的としているためです。単に手話を正しく理解し表現できるだけでなく、状況に応じた適切なコミュニケーションを図れる能力が問われます。

受験資格と試験内容

年齢、性別、学歴などの受験資格は特にありません。誰でも自由に受験できます。試験内容は級によって異なりますが、大きく分けて筆記試験、手話読み取り試験、そして手話による表現・会話試験の3つのセクションから構成されています（3級以下は2つ）。

筆記試験では、1級は小論文、準1級は選択式穴埋め、2級は4肢択一方式の出題となります。手話読み取り試験では、テレビ画面に映し出される手話を理解し、設問に解答する形式です。そして、最も重要な手話での表現・会話試験は、面接官との個別面接で行われます。「表現」セクションでは、与えられたテーマについて手話でスピーチを行い、「会話」セクションでは、面接官からの手話による質問に手話で答える形式です。

合格基準

各セクションの試験結果は、おおむね70％以上の成績を収める必要があります。3つのセクション（3級以下は2つ）全てにおいてこの基準を満たした場合に合格となります。

全国手話検定試験の位置づけ

全国手話検定試験は、手話学習者にとって、自身のコミュニケーション能力を客観的に把握し、向上を図るための重要な機会となります。手話通訳者を目指す人だけでなく、ろう者と接する機会の多い介護士や医療従事者、また、単に手話に興味を持つ学習者にとっても、実用的なコミュニケーション能力を養う上で役立つ試験です。

他の手話関連検定との違い

全国手話検定試験と混同されやすいものに、特定非営利活動法人手話技能検定協会が実施している「手話技能検定」があります。両者は目的や評価基準が異なります。手話技能検定が手話そのものの技能を重視するのに対し、全国手話検定試験はろう者とのコミュニケーション能力を重視している点が大きな違いです。それぞれの検定の特性を理解し、自身の目標や学習状況に合わせて適切な検定を選択することが重要です。

まとめ

全国手話検定試験は、ろう者との円滑なコミュニケーション能力を測ることを目的とした、実用的な検定試験です。受験資格の制限がなく、誰でも挑戦できるため、手話学習の到達度を確認し、さらなる学習へのモチベーションを高める上で有効な手段と言えるでしょう。手話学習の一助として、そしてろう者とのより良いコミュニケーションを目指して、全国手話検定試験の活用をご検討ください。

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