全国総合開発計画

全国総合開発計画の概要

全国総合開発計画（全総）は、日本の国土の利用や開発、保全に関する基本的な方針を示した計画であり、住宅や都市、交通基盤を含む社会資本の整備に関する長期的な方向性を定めています。この計画は、国土総合開発法に基づいて内閣総理大臣が関係する行政機関の意見を取り入れ、国土審議会の調査を経て策定されます。

1962年に初回の全国総合開発計画が策定されて以来、これまでに5回の改定が行われてきました。初回の計画は、地域ごとの均衡ある発展を目的としており、一般的に「全国総合開発計画」として知られていますが、特に第一次計画を指す場合は「一全総」とも呼ばれています。

初代計画の背景と目的

第一次全国総合開発計画は、1962年10月5日に策定され、1970年を目指す計画でした。当時、日本は高度経済成長の過渡期にあり、都市部の過密化と所得格差が拡大していました。特に、第二次世界大戦後の貧困からの復興に伴い、国民の生活向上に向けた環境整備が急務でした。さらに、戦後の台風による災害も影響を与え、全国的な開発計画の必要性が高まりました。

経済審議庁は、特定地域だけでなく日本全体を対象とした総合的な開発を目指す「全国総合開発計画」の構想を作成し、最終的には閣議了解を得て正式に策定されました。

開発方式とその意義

第一次全国総合開発計画は、企業の過度な集中と地域格差の問題を解決するため、拠点開発方式を採用しました。この方式は、地域に新たな産業を促進し、雇用を創出することを目的としています。具体的には、低開発地域に新産業都市を設け、工業整備を進めるなどの手法が採用されました。

計画の発展と評価

全国総合開発計画は、その後も5次にわたり改定されてきましたが、均衡ある発展を実現することは依然として課題となっています。特に、東京の一極集中現象はさらに進行し、地方の経済状態や産業振興との間に大きな格差が拡大しました。また、近年では「均衡ある発展」から「特色ある発展」といった新たな視点が提唱されています。

このように、全国総合開発計画は、日本の地域政策において重要な役割を果たしてきましたが、時代の変化とともにその内容やアプローチも変化しているのです。各県ごとの特色を生かしながら、持続可能な開発を目指すための取り組みが引き続き求められています。

結論

全国総合開発計画は、日本の社会経済の発展において重要な指針となった歴史的な計画です。地域間のバランスある成長を目指す取り組みは、今後も深化させていく必要があります。

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