全国身体障害者スポーツ大会

全国身体障害者スポーツ大会とは

「全国身体障害者スポーツ大会（ぜんこくしんたいしょうがいしゃスポーツたいかい）」は、身体に障害を持つ人々を対象として、かつて日本で毎年開催されていた全国規模のスポーツ競技会です。この大会は、1965年に岐阜県で記念すべき第1回が開催されて以来、足掛け36年にわたり続き、2000年に富山県で行われた大会をもってその歴史に幕を閉じました。

設立の背景と目的

本大会が企画・設立された背景には、1964年に東京オリンピック競技大会の直後に開催され、世界的に大きな成功を収めた東京パラリンピックの存在があります。パラリンピックの成功が、スポーツが身体に障害のある人々に与える影響、すなわち身体能力の向上、健康の維持増進、そして何よりも競技を通じて得られる喜びや達成感、社会とのつながりの重要性を強く示しました。この成功を受けて、「身体に障害を持つ全国の人々にも、スポーツに親しみ、その喜びを分かち合ってもらいたい」という趣旨のもと、厚生省（当時）や公益財団法人日本身体障害者スポーツ協会などが中心となり、全国的な規模での身体障害者向けスポーツ大会の開催が計画されました。そして、第20回国民体育大会の開催地であった岐阜県が、第1回大会の舞台となったのです。

大会の開催形式と運営

全国身体障害者スポーツ大会は、原則として、同年に開催される国民体育大会（国体）の秋季大会が終了した直後の2日間にわたって行われました。開催地も、その年の国体開催都道府県および政令指定都市と同一でした。これにより、国体開催のために整備された最新の競技施設や宿泊施設などを有効に活用することが可能となり、選手たちはより良い環境で競技に集中することができました。

大会の主催は、厚生省、公益財団法人日本身体障害者スポーツ協会（現在の公益財団法人日本パラスポーツ協会などの母体組織の一つ）、そしてその年の開催都道府県・政令指定都市が共同で行いました。これらの機関が連携し、大会の円滑な運営を支えました。

皇室の臨席

本大会の開会式には、長年にわたり皇室の方々が臨席されるのが慣例となっていました。特に、当時の皇太子殿下が開会式にご臨場されることが多く、1965年から1987年、そして1989年には明仁親王殿下（後の上皇陛下）、1990年から1993年、および1995年から2000年にかけては徳仁親王殿下（今上陛下）が臨席されました。皇太子殿下の臨席は、大会の社会的な認知度と権威を高め、障害者スポーツへの関心を喚起する上で大きな役割を果たしました。ただし、特別な事情により名代が務められた年もあり、例えば1988年には昭和天皇のご容態が悪化された影響で浩宮徳仁親王が、1994年大会では秋篠宮文仁親王がそれぞれ皇太子の名代としてご臨場されました。

大会の終焉と後継

2000年に富山県で開催された第36回大会をもって、全国身体障害者スポーツ大会はその長い歴史に幕を閉じました。この大会の閉会式において大会旗が返納され、翌2001年からは、それまで別個に行われていた全国知的障害者スポーツ大会と統合される形で、新たな「全国障害者スポーツ大会」として再出発しました。全国障害者スポーツ大会は、身体障害者だけでなく、知的障害者、そして精神障害者も対象に含める、より包括的な大会として現在も毎年開催されています。

全国身体障害者スポーツ大会は、約35年間の開催期間を通じて、多くの身体障害者がスポーツに参加し、自己の可能性に挑戦し、交流を深める貴重な機会を提供しました。その歴史は、日本の障害者スポーツ振興における重要な一歩として記憶されています。

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