全国高等学校女子硬式野球連盟

日本の高等学校に所属する女子硬式野球チームを取りまとめ、その活動を支援・運営する組織が、全国高等学校女子硬式野球連盟です。略称はJHGBFと呼ばれます。この連盟は、高校レベルでの女子硬式野球の普及と発展、そして選手の競技機会の提供を目的として、1997年に設立されました。

連盟が誕生する背景には、女子スポーツ全体の盛り上がりとともに、高校生女子の間で硬式野球をやりたいという声が高まっていたことがあります。しかし当時、日本の高校野球を統括する日本高等学校野球連盟（高野連）は、学生野球憲章における二重登録の規定や、男子部員との混合チームでの大会参加に関する安全面への配慮から、女子生徒が硬式野球に本格的に取り組む上でのハードルとなっていました。

こうした状況の中、1995年には中国の北京から女子硬式野球チームが来日し、日本との親善大会が開催されました。翌1996年にも韓国チームとの親善試合が行われるなど、国際交流が活発化します。これらの交流戦をきっかけに、日本国内でも高校生女子による硬式野球の全国規模の大会を開催すべきだという機運が一気に高まりました。この強い要望に応え、全国大会を実現・運営していくための母体組織として、1997年に全国高等学校女子硬式野球連盟が結成されたのです。

連盟は、設立以来、高校女子硬式野球の主要な全国大会を主催しています。具体的には、毎年春に開催される全国高等学校女子硬式野球選抜大会（3月下旬～4月上旬）、夏の球児の熱戦を思わせる全国高等学校女子硬式野球選手権大会（7月下旬～8月上旬）、そして育成年代の強化を目的とした全国高等学校女子硬式野球ユース大会（8月下旬）の三大大会を実施しており、全国の女子高校球児たちの目標となっています。

日本の学生野球全体を取り仕切る日本学生野球協会が定める学生野球憲章では、「ある連盟に登録している選手は、その期間中、原則として他の連盟には登録できない」と規定されています（第15条）。この規定のため、本連盟に登録している女子選手は、学生野球憲章が適用される高野連の大会には原則として参加できません。女子選手が実戦経験を積む機会をいかに確保するかは長年の課題でした。こうした背景から、2020年2月13日には、高野連、全日本女子野球連盟、そして本連盟の三者間で意見交換会が行われました。この席で、本連盟側は学生野球憲章の適用を受けていない立場から、高野連に登録されている女子選手も受け入れる体制を整えたいという意向を示しており、今後の連携の可能性を探っています。

部員数が少なく単独でチームを組むことが困難な学校や、まだ正式な部活動として認められていない同好会などの場合、複数の高校が合同で「連合チーム」を結成し、連盟主催の全国大会に参加することが認められています。これにより、一人でも多くの女子生徒に硬式野球を続ける機会が提供されています。特に注目すべき存在として「全国高等学校連合丹波」があります。これは兵庫県丹波市を拠点とする、全国の高校から選手を受け入れる特別な連合チームです。このチームには、所属校に女子野球部がない、あるいは人数が足りないために単独または複数校連合でも出場できない学校の選手、女子野球部がなく男子野球部にも所属していないが女子硬式野球のクラブチームで活動している選手、さらには男子野球部に所属しながらも所定の要件を満たし、許諾を得た上で女子の大会に参加したいと希望する女子部員が参加できる仕組みが整えられています。

連盟の歩みは、1995年の日中親善大会、1996年の日韓親善大会といった国際交流イベントから始まりました。これらが国内での全国大会開催への機運を高め、1997年に記念すべき第1回全国高校女子硬式野球大会が開催されます。翌1998年には正式に「全国高等学校女子硬式野球連盟」が発足しました。2000年には春の選抜大会が新たに始まり、夏の大会は「選手権大会」と名称が変更されました。2010年には育成年代を対象としたユース大会も加わり、現在の三大大会体制が確立されます。大会の開催地も、当初の関東から兵庫県市島町、そして現在の埼玉県加須市など、全国各地に移管されながら発展を続けています。

2024年1月現在、連盟には北海道から沖縄まで全国各地の61校が加盟しています。また、これ以外にも新たに女子硬式野球部を創部・加盟に向けて準備を進めている高校が複数あり、今後の更なる発展が期待されています。かつて加盟していた高校も存在し、女子硬式野球の歴史を紡いできました。

全国高等学校女子硬式野球連盟は、女子高校球児たちが輝ける舞台を提供し、日本の女子野球全体のレベルアップと普及に貢献する重要な役割を担っています。

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