全日

全日視聴率：日本のテレビ界を彩る指標

日本のテレビ業界において「全日」とは、午前6時から午後12時までの時間帯を指す業界用語です。この時間帯の視聴率は、1日の放送における視聴者数の指標として、各局の勢力図を示す重要な要素となっています。多くの世帯がテレビを視聴する時間帯であるため、全日視聴率は局の総合的な人気と影響力のバロメーターとして、長年重視されてきました。

全日視聴率は、ゴールデンタイムやプライムタイムといった特定の時間帯に限定されない包括的な指標である点が特徴です。そのため、朝の情報番組から夜のニュース、そして深夜番組まで、あらゆる番組の視聴率が総合的に反映されます。この包括性が、全日視聴率をテレビ局の総合的な力を測る指標として位置付けている理由です。

各地域における全日視聴率首位局の変遷

関東地区、関西地区、名古屋地区における全日視聴率首位局の変遷を見ると、それぞれの地域で視聴習慣や人気番組の傾向が異なっていることがわかります。

関東地区では、NHK総合が長らく首位を維持した後、フジテレビ、日本テレビがしのぎを削る展開となっています。特に日本テレビは2000年代以降、首位を長く獲得しています。

関西地区は、関西テレビ、読売テレビ、朝日放送が首位争いを繰り広げており、ローカル局の強さが顕著に表れています。ローカル番組の力とキー局の動向のバランスが、視聴率に影響を与えている様子が伺えます。

名古屋地区も、東海テレビと中京テレビが首位を争い、ローカル局の強さが際立つ地域です。

地域ごとの特徴と視聴率に影響を与える要因

全日視聴率は、地域によって特徴が見られます。全国的に見ると、キー局の番組編成とローカル番組の充実度のバランスが重要です。日本テレビ系列やフジテレビ系列は、キー局の安定した視聴率とローカル局の強みによって高い視聴率を維持している傾向があります。

北海道の札幌テレビ放送（STV）は、『どさんこワイド』などのローカル番組の圧倒的な人気により、長期にわたって全日視聴率首位を維持したことで知られています。これは、地域に根付いた番組の力が視聴率に大きく影響を与える一例です。

一方、近畿地方や福岡などでは、テレビ朝日系列の局が近年、全日視聴率で好調な成績を残しています。これは、ローカル番組の強みと、近年におけるキー局の好調という追い風をうまく捉えているためと考えられます。

NHK総合と長年の首位維持

NHK総合は、1963年から1986年、さらに1988年と1989年まで、約30年にわたって全日視聴率で首位を維持しました。その背景には、『連続テレビ小説』や『大河ドラマ』、そして定時ニュースといった、国民的な人気と高い信頼性を誇る番組群の存在が大きく貢献しています。これらの番組は、幅広い年齢層の視聴者から支持され、長年にわたって高い視聴率を維持し続けてきました。

テレビ朝日の躍進と朝の情報番組

テレビ朝日も、1969年から1971年にかけて、在京民放5局の中で全日視聴率首位を獲得しました。これは、『木島則夫 モーニングショー』といった朝の情報番組の成功が大きな要因です。この番組の成功は、他局にも朝の情報番組強化の波を起こすきっかけとなりました。

まとめ

全日視聴率は、単なる視聴率データではなく、各地域の視聴習慣、ローカル番組の力、キー局の戦略、そして国民的な人気番組の存在など、様々な要因が複雑に絡み合って形成される指標です。この指標を通じて、日本のテレビ業界の変遷、そして視聴者ニーズの移り変わりを分析することができます。

もう一度検索