全日本FJ360選手権

全日本FJ360選手権の概要

全日本FJ360選手権は、日本においてかつて行われたフォーミュラカーのレースイベントです。この選手権は、1960年代の日本で自動車レースの振興を目的に設立されたもので、特に軽自動車に焦点を当てています。日本自動車連盟（JAF）は、ヨーロッパの模倣としてフォーミュラ振興策を進め、国内トップカテゴリーのF2を設定するとともに、その下に全日本F2000選手権、全日本FJ1300選手権、そして全日本FJ360選手権が設けられました。

開催の背景

FJ360は、排気量360ccの軽自動車のエンジンを使ったレースカテゴリーで、1971年からレースが始まりました。レースでは、スズキの2ストロークエンジンとホンダの4ストロークエンジンが使用されましたが、2ストロークエンジンの性能が優れていたため、4ストローク勢は勝利を収めることが非常に難しい状況でした。実際、FJ360の開催は数回にとどまり、長続きしませんでした。

エントラントと技術的背景

このカテゴリーでは、FIAの政策に基づいて、2ストロークエンジンは換算排気量係数1.3を適用されていました。一方で、4ストロークエンジンはこの対策に応じて500ccへの拡張を試みましたが、2ストロークエンジンの420ccまでは拡張できませんでした。このため、レースの運営者は排気量の拡大を容認しましたが、JAFはこれを認めていませんでした。その結果、FJ360カテゴリーは360ccのマシン、FL500は500ccのマシンとして運用されることになりました。

1970年代中頃には、日本の軽自動車の排気量が550ccに拡大したため、これに応じて車両はFL550という名称で進化しました。名称に含まれる「F」はフォーミュラカー、「J」はJapanまたはJuniorを示し、360は排気量に由来しています。日本ならではのこのカテゴリーは軽自動車の普及に支えられ、当時のF1マシンに近い出力重量比を誇っていたため、俊敏な加速性能とコーナリング性能が特徴でした。このことから、「ミニF1」とも称されるようになりました。

マシンと競技の特性

FJ360で使用されるエンジンは、当時の軽自動車で一般的だった0.36Lの2ストロークエンジンです。この選手権では、入門カテゴリーであるFJ1300とは異なり、参戦者はレーシングコンストラクタが提供したシャーシだけでなく、自ら設計したマシンを持ち込むことも可能であり、これがレースに多様性と熱狂をもたらしました。レース開催後、レギュレーションが変更されFL500に進化した段階では、これに合わせてエンジンを換装するチームも見られました。低コストで参戦できるという特長は、日本のモータースポーツが成長する上で非常に重要でした。

同時期には、軽自動車のエンジンを活用したフォーミュラ・スズキKeiやFK4が開発されており、さらに自作マシンでの参戦を目指すフォーミュラ20の構想も生まれ、試作車も制作されたことから、日本のモータースポーツ文化の発展に大きな影響を与えたことが伺えます。

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