全日空機下地島オーバーラン事故

全日空機下地島オーバーラン事故

2002年6月26日、沖縄県の下地島空港で、全日本空輸（ANA）のボーイング767-200型機がオーバーランする航空事故が発生しました。この事故は、訓練中のパイロットの操縦ミスと、教官の指導不足が重なり発生したとされています。

事故の概要

事故が発生したのは、午後12時54分頃です。全日空のボーイング767-200型機は、片方のエンジンを停止した状態でのタッチアンドゴー訓練を実施していました。訓練中、機体は滑走路をオーバーランし、滑走路東側の草地に突っ込みました。この際、誘導路灯を破壊し、機体は停止しました。

この事故により、下地島空港は滑走路を閉鎖せざるを得なくなりました。機体は、尾部や両主翼の先端などが破損し、乗員3名のうち1名（訓練生）が頭部に負傷を負いました。詳細な調査の結果、機体の胴体尾部のフレームが破断し、外板にひび割れが発生していることが判明しました。さらに、両主翼の先端エルロンやAPU（補助動力装置）にも損傷が見つかりました。これらの損傷により、下地島空港での修理は不可能と判断され、機体は解体処分となりました。これは、ボーイング767型機としては日本で初めての全損事故となりました。当時、全日空ではボーイング767-300型への機種交代が進んでおり、事故を起こした-200型は退役が進められていました。

事故原因

当初、国土交通省航空局は本件を「重大インシデント」と指定しました。しかし、その後、損傷の程度が大修理を要するものであると判断し、「航空事故」と認定しました。航空鉄道事故調査委員会が事故原因の調査を行った結果、2003年11月28日に最終報告書が発表されました。

報告書によると、事故の主な原因は、訓練生の操縦ミス、教官の実機訓練教官としての経験不足、そして教官による適切な助言や指導の欠如と結論付けられました。さらに、全日空社内における実機訓練時の注意事項に関する教育が不十分であったことも指摘されました。

また、報告書では、全日本空輸において実機訓練教官に対する教育訓練の充実を図る必要性と、訓練指導要領における片方のエンジンを停止した状態でのタッチアンドゴー訓練時の留意点に関する周知の徹底不足も指摘されました。これらの要因が複合的に重なり、今回の事故が発生したと結論づけられました。

この事故は、訓練体制の不備と指導の重要性を浮き彫りにしました。全日空は、この事故を教訓に、訓練プログラムや教官の教育体制を見直し、再発防止に努める必要がありました。

まとめ

全日空機下地島オーバーラン事故は、訓練生の操縦ミスと教官の指導不足が重なって発生した痛ましい事故でした。この事故をきっかけに、航空業界では訓練体制の見直しや安全意識の向上がさらに求められるようになりました。

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