全日空機成田空港オーバーラン事故

エアージャパン908便 成田空港オーバーラン事故

2003年1月27日、新東京国際空港（現在の成田国際空港）で、エアージャパン908便がオーバーランする航空事故が発生しました。この事故は、同空港が開港して以来初のオーバーラン事故として記録されています。

事故の概要

事故を起こしたエアージャパン908便は、大韓民国の仁川国際空港を離陸し、ボーイング767-300ER型機（機体記号：JA605A）で運航されていました。出発が遅延した同便は、成田空港のB滑走路（当時の名称は暫定平行滑走路で、長さ2,180メートル）に着陸を試みました。

午後9時49分、着陸進入中に強い雨と13メートルの追い風という悪条件が重なり、機体は速度超過の状態で滑走路中央付近に接地しました。一度は浮き上がったものの、再度接地した際に滑走路の端で停止できず、オーバーラン。滑走路端の過走帯を越え、前脚が舗装路から約70メートル逸脱し、芝生の緑地帯に10メートルほど進入したところで航空灯火に衝突して停止しました。右主脚も舗装路を逸脱しています。

この事故により、滑走路の誘導灯と補助灯が破損しましたが、機体に大きな損傷はなく、乗員乗客に負傷者はいませんでした。しかし、機体が緑地帯の泥濘にはまって自力で脱出できず、乗客乗員はタラップで機外に避難し、バスでターミナルへ移動しました。

事故発生後、B滑走路は直ちに閉鎖され、空港職員や全日空の社員が機体の脱出作業を開始。牽引車や器具を駆使し、機体を脱出させ、破損した誘導灯や補助灯を修復しました。翌28日の午前6時55分に滑走路は再開されましたが、これにより一部の発着便に遅延が生じました。幸い、事故発生が定期便の発着が終了する直前であったため、滑走路が約10時間閉鎖されたにも関わらず、大きな混乱は発生しませんでした。

事故原因

国土交通省は本件を「重大インシデント」に指定し、航空・鉄道事故調査委員会が事故原因の調査を行いました。調査の結果、パイロットが短距離のB滑走路への着陸に必要な注意を怠った操縦ミスが主な原因であると結論付けられました。

具体的には、以下の点が指摘されています。

機長が追い風の中を意図したよりも速い速度で着陸進入したこと。
接地位置が大幅に遅れたにも関わらず、着陸復航を行わなかったこと。
副操縦士と訓練生が速度超過を指摘せず、着陸復航の助言をしなかったこと。
運航乗務員が接地位置について明確な目安を持っていなかったこと。

事故機について

事故を起こしたJA605Aは、その後修復され営業運航に復帰しました。2021年には全日本空輸からAIRDOに移籍し、現在もAIRDOで現役として運航されています。

出典

航空重大インシデント報告書 (PDF) - 運輸安全委員会

関連項目

全日空の航空事故およびインシデント

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