全日空391便函館空港着陸失敗事故

全日空391便函館空港着陸失敗事故

2002年1月21日、全日本空輸（ANA）391便、エアバスA321型機（機体番号JA104A）が函館空港への着陸時に、ウインドシア（急激な風速・風向の変化）に遭遇し、機体後部を滑走路に接触させる事故が発生しました。この事故は、航空機の安全な運航における気象条件の重要性を改めて認識させる出来事となりました。

事故の概要

全日空391便は、小牧空港から函館空港へ向かう定期便として運航していました。函館空港への着陸進入中、滑走路12の進入灯上空を飛行していた際、高度約53フィート（約16メートル）、滑走路手前約140メートルの地点で、ウインドシア警報が作動しました。これを受けて、パイロットは直ちに回復操作を開始し、エンジンの推力を離陸時の最大推力まで増加させました。しかし、機体の上昇力が回復するよりも早く、機体後部が滑走路に接触しました。この接触により、機体のフレーム、後部圧力隔壁、フロアビームなどに亀裂や損傷が生じました。幸いにも、乗客乗員に重傷者はいませんでしたが、客室乗務員3名が軽傷を負いました。

事故後、同機は着陸をやり直し、約17分後の13時20分頃、無事に函館空港に着陸しました。

事故原因

国土交通省航空局は、本事故を「航空事故」と指定し、航空鉄道事故調査委員会が詳細な調査を行いました。2003年9月26日に公表された事故調査報告書によると、事故の原因は、着陸進入中に遭遇したウインドシアであると結論づけられました。パイロットはウインドシア警報を受けて、速やかにエンジンの推力を最大まで上げ、機体の上昇を試みましたが、進入速度が低かったことなど複数の要因が重なり、機体が十分な上昇力を回復することができませんでした。その結果、機体後部が滑走路に接触し、損傷に至ったとされています。

事故機のその後

事故を起こした当該機（エアバスA321、機体番号JA104A）は、後部圧力隔壁などの損傷箇所を修理し、再び運航に復帰しました。その後、2006年6月まで全日空の機材として使用された後、リース会社に売却されました。事故を起こした機体が、修理を経て再び空を飛んだことは、航空機の安全性を維持するための技術力と努力を示す事例と言えるでしょう。

まとめ

全日空391便函館空港着陸失敗事故は、ウインドシアという気象現象が航空機の運航に及ぼす危険性を示すとともに、航空機の安全対策における多角的な視点の重要性を浮き彫りにしました。この事故を教訓として、航空業界ではウインドシアに対する警戒を強め、安全対策の強化が図られました。


出典

* 国土交通省 航空事故調査報告書 全日本空輸株式会社所属 JA104A (PDF)

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