全米技術アカデミー

全米技術アカデミー（NAE）について

全米技術アカデミー、英語では United States National Academy of Engineering（NAE）は、1964年にアメリカ政府により設立された非営利の研究機関です。このアカデミーは、1863年設立の全米科学アカデミーと同様の議会活動によって創られました。NAEは工学教育と研究の促進を目指しており、優れた技術者や工学者の表彰も行っています。

NAEの役割と活動内容

NAEは、会員の選考やプログラムの実施を自律的に行い、特に工学に関する問題について連邦政府へ助言を行う重要な役割を担っています。また、会員に選ばれることは工学の分野における最高の栄誉とされるため、選考は厳格な基準によって行われます。新しい会員は、既存の会員による推薦に基づき、その技術や工学分野での実績を考慮して選定されます。新会員の選定は毎年実施され、アメリカ市民が正式な会員となる資格を有しますが、外国人は「外国準会員」として受け入れられます。2020年時点では、正会員と外国準会員を合わせて2000人以上が存在しています。

主な賞と評価

NAEは工学分野での卓越した業績を表彰するため、毎年3つの主要な賞を授与しています。これらの賞は、全米工学アカデミーの名にふさわしいものであり、受賞者には副賞として各50万ドルが贈られています。この3つの賞は、工学のアメリカ版ノーベル賞とも呼ばれることがあります。

ゴードン賞

2001年から授与され始めたこの賞は、アナロジック社の創業者バーナード・マーシャル・ゴードンにちなみ、工学教育の新たな手法を開発した学界のリーダーを表彰します。受賞者には賞金の半分が贈られ、残りは受賞者の所属する機関にて研究開発に活用されます。

ラス賞

1999年に設立されたこの賞は、社会に大きな影響を与える技術革新を評価し、広めることによって人類の進歩を支援した功績を称えます。オハイオ大学出身のFritz Russとその妻にちなんで名付けられています。

チャールズ・スターク・ドレイパー賞

1989年に創設されたこの賞は、技術関連の公的な教育に貢献した人物を対象としており、名の由来となったチャールズ・スターク・ドレイパーは「慣性誘導装置の父」として知られるMIT教授であり、ドレイパー研究所の設立者です。

教育・研究促進の取り組み

NAEはまた、教育や研究の向上に関する数多くのプログラムを運営しています。

Grand Challenges for Engineering

2008年に発表された「工学の14の大きな挑戦」は、今後100年間に解決が求められる重要な課題を示しています。専門委員会が公募を通じて意見を集め、課題として選定しました。

Frontiers of Engineering

このプログラムでは、30代から45歳の新しい工学分野のリーダーを集め、様々な最先端の研究や開発について交流を深める機会が提供されています。

Diversity in the Engineering Workplace

技術系の多様性を促進するための研究やワークショップを開催し、教育分野での改善に取り組んでいます。

Center for the Advancement of Scholarship on Engineering Education

工学教育のカリキュラム変更に関する提案を行うプログラムです。

PR活動

NAEは、毎週ワシントンD.C.のラジオ局WTOPで特別番組を放送し、その内容はウェブサイトにアーカイブされています。隔週でのニュースレター発行も行い、一般に向けた情報発信を行っています。

NAEの活動は、工学分野の発展に重要な役割を果たしており、未来の技術革新へ向けた足がかりとなっています。

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