全米桜祭り

全米桜祭り

全米桜祭り（National Cherry Blossom Festival）は、毎年春にワシントンD.C.で行われる大規模なイベントです。この祭りは、1912年に日本の東京市長・尾崎行雄からアメリカへの桜の寄贈を記念して始まりました。桜は日米の友好関係を象徴するものであり、毎年多くの人々がその美しさを楽しみに訪れます。

歴史の背景

桜の木をワシントンD.C.に植える動きは、1885年にエリザ・シドモアが提案したことから始まりました。彼女は日本から桜の木を持ち帰り、植えるように働きかけ続けました。1906年、植物学者のデビッド・フェアチャイルドは、横浜から1000本の桜を輸入し、自らの所有地に植えました。

その後、様々な人々が関与した結果、1909年に日本政府がアメリカに2000本の桜を寄贈する形が整えられました。しかし、最初に寄贈された桜が検疫により焼却される不幸な出来事が発生します。これを受けて、再度日本から桜の寄贈が行われることとなり、約6000本の木が到着しました。

1912年3月27日には、公式な植樹式典が開催され、ファーストレディのヘレン・ハロン・タフトと日本大使夫人が最初の桜の木を植えました。これが全米桜祭りの発端とされています。以降、桜の木はタイダルベイスンの美しい景観を形成し、多くの市民に親しまれてきました。

祭りの発展

最初の桜祭りは1935年に行われ、以降、毎年恒例のイベントとして継続されています。1941年、桜を切り倒す計画に対する抗議や、戦争の影響で祭りが中断されるなど波乱の歴史もありましたが、1947年に再開し、現在のかたちへと発展しています。

祭りの中では、日本文化を体験できる多様なイベントが行われます。スミソニアン凧揚げ大会や、寿司や日本酒を楽しむイベント、着物のファッションショーなどが行われ、市民や観光客を楽しませています。また、毎年70万人以上がこの祭りを訪れる印象的な規模です。

サクラの種類と美しさ

寄贈された桜の3180本は、ソメイヨシノをはじめとする12種類の桜が含まれています。特にソメイヨシノは、タッシーの白雲のように美しく咲き誇り、多くの人々を魅了しています。現在では、そのうち70%がソメイヨシノで、その他にもカンザンやフゲンゾウなどが植えられています。

市内の多くの観光名所の近くに桜が植えられ、春の訪れを告げる象徴となっています。桜が満開になる時期に合わせて、祭りの活動が行われ、訪れる人々に春の息吹を感じさせています。

現在の祭りの運営

全米桜祭りは、さまざまな団体や市民から構成されるナショナル・チェリーブロッサム・フェスティバルIncによって運営されています。毎年様々なパレードやストリートフェスティバルが行われ、多くの参加者が桜を楽しむだけでなく、日本文化を体験する機会を得ています。

このように、全米桜祭りは単なる花見の祭りにとどまらず、日米の友好や文化交流の重要な場として、長い歴史を持つイベントであり、今後もその伝統が受け継がれていくことでしょう。

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