全能神

全能神教会についての解説

全能神教会（ぜんのうしんきょうかい）は、中国において形成された新興宗教です。その教義は、伝統的なキリスト教をもとにしていますが、独自の解釈が多く含まれており、しばしば異端視されています。この宗教団体は、「東方閃電」とも呼ばれ、これは新約聖書のマタイによる福音書に由来します。特に「いなずまが東から西にひらめき渡るように、人の子も現れるであろう」という言葉がその根拠として引用されています。

教会の創始者である楊向彬（いーしん）は、イエス・キリストが全能神として再来したと主張しています。教団は、神の国がこの地に樹立されることを目指しており、信者にはキリスト教の教義が新たに啓示されているとされています。特に、20世紀から続く「恵みの時代」からさらなる時代への移行が宣言されており、信者たちはその到来を信じています。教団がしばしば使用する書物には、1997年に発表された「話在肉身顕現」があります。

全能神教会は、地域コミュニティや信者のサポートを通じて急速に信者を増やしており、その背景には中国の貧富の差も影響しています。信者としての生活が経済的な利益をもたらす場合も多く、特に信徒が従順であることが求められます。教団は、自身を真の信者として掲げ、他の宗教団体と比べて強力な組織力を誇ります。そのことから、一度入信すると脱会が難しいとされることが多いです。

一方で、全能神教会は中国政府から「邪教」として認定され、厳しい取り締まりのターゲットとなっています。特に2000年以降、政府は教団に対して大規模な弾圧を行っており、教会を「巨大な赤い龍」と形容しています。この表現は、共産党を指すものであり、教会は共産政権の打倒を目指しています。結果として、多くの信者が教団に参加し続ける一方、過去に脱退した元信者たちは、教団を偽善的な集団と表現することが一般的です。

全能神教会にまつわる事件も報告されています。特に2014年に発生した「山東招遠カルト殺人事件」は有名で、教団の信者が女性を襲撃し、命を奪った事件が発生しました。この事件により、教団の危険性がより一層認識され、政府はその取り締まりを強化する結果となりました。また、教団が唱えた2012年の人類滅亡説が広まった際には、多くの信者が逮捕されています。

全能神教会に対する見解は多様であり、一部の人々は教団を擁護する一方、他の多くはその teachings や活動について懸念を示しています。教団の信者は、自らを「この世で最も清い者」と主張するとともに、外部からの非難に対しても強い反発を示すことが多いです。しかし、教団の内部で実際に何が起こっているのかについては、依然として謎に包まれた部分が多いため、正確な情報の収集が求められています。これらの背景を踏まえると、全能神教会は単なる宗教団体に留まらず、政治的、社会的な課題を内包した複雑な存在であると言えるでしょう。

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