全般性不安障害

全般性不安障害（GAD）

全般性不安障害（Generalized Anxiety Disorder, GAD）は、過剰で抑えきれない不安が長期間続き、個人の日常生活に大きな影響を与える精神的な障害です。具体的には、さまざまな出来事や状況に対して対象を特定せずに心配し続け、その状態が少なくとも6ヶ月以上継続することが求められます。アメリカ合衆国では、約680万人の成人がGADを経験しており、欧州では人口の約2%がこの障害に悩まされています。特に、GADは女性に多く、男性の約2倍発症しやすいとされています。

定義と症状

GADは精神医学的な障害の一種であり、症状としては様々な日常的な活動や将来に対する過剰な不安や心配が挙げられます。この不安は、特定の原因が示されないことが重要な特徴です。DSM-IVの基準によれば、以下の条件を満たす必要があります：

1. 不安が6か月以上続くこと。
2. 不安や心配を感じる日が、感じない日よりも多いこと。
3. 次のいずれかの症状が三つ以上見られること：そわそわや緊張、疲れやすさ、動悸、めまい、集中力の欠如、眠れない、など。

原因

GADの原因は多岐にわたり、遺伝的要因やストレス、神経質な性格が関与しているとされています。また、長期間の薬物使用、特にベンゾジアゼピンやアルコールの使用は不安を悪化させることがあります。これらの物質からの回復後に症状が改善されることも報告されています。

疫学

イギリスにおいては、GADの生涯経験率は約5.7%であり、その患者数は他の不安障害と比較しても非常に多いです。特に10代半ばに発症することが多いですが、精神科の受診には時間がかかるケースが多いため、適切な治療が行われにくい現状もあります。

治療法

GADの治療には大きく分けて心理療法と薬物療法の2つがあります。初期のアプローチとしては、軽度の心理療法の実施が推奨されています。具体的には、以下のような選択肢があります：

• - 自己支援に基づく書籍や資料を利用すること。
• - 医療者のサポートを受けながらの自己支援。
• - グループでの精神教育。

これらが効果を示さない場合には、さらなる心理療法や薬物療法を検討し、必要に応じて専門医へ紹介します。

心理療法

認知行動療法（CBT）は、GADに対して非常に効果があるとされています。この療法では、クライアントが不安や心配を自分の思考から生じるもので、実際には事実ではないことに気づくことを手助けします。また、曝露療法は回避行動を減少させるための手法です。これにより、心配することが実際の出来事に繋がらないことを認識することができます。

薬物療法

薬物療法においては、最初の選択肢として選ばれるのはSSRI（選択的セロトニン再取り込み阻害薬）です。これが効果を示さない場合には、別のSSRまたはSNRI（セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬）が検討されます。また、ベンゾジアゼピンは短期間の使用が許可されていますが、長期にわたる使用は推奨されていないため、注意が必要です。

総括

全般性不安障害（GAD）は、過剰な心配により日常生活に支障をきたす厄介な障害ですが、適切な治療法を通じて症状の軽減や克服が可能です。認知行動療法をはじめ、薬物療法、サポート体制の利用が効果的です。

もう一度検索