全音楽譜出版社

株式会社全音楽譜出版社について

株式会社全音楽譜出版社（英名：Zen-On Music Company Limited）は、音楽関連事業に特化した日本の企業であり、主に楽譜や関連書籍の出版、楽器の製造販売、音楽教育に取り組んでいます。

企業の歴史と概要

全音楽譜出版社は1931年に創業し、現在は東京都新宿区に本社を構えています。彼らの楽譜は音楽之友社の作品と並び、日本国内での普及率が高いことで知られています。特に、2004年からはオイレンブルク版スコアの日本版も取り扱いを始め、これは日本独自の校訂版として高く評価されています。それにより、単なるライセンス出版ではなく、充実した解説と共に質の高い製品を提供しています。

国際的な提携と作品の多様性

全音楽譜出版社は、古くからソヴィエトの出版社シコルスキー社と関係を持ち、ロシアやソヴィエト音楽の楽譜を多数提供しています。例として、ショスタコーヴィチの交響曲第10番が挙げられますが、これは昭和30年代に日本で初演され、早くもその年に出版されるなど、国内音楽界に大きな影響を与えました。また、1990年代初頭からはショスタコーヴィチ作品全集のライセンス販売を積極的に行ってきており、近年ではプロコフィエフやハチャトゥリアンの作品もラインナップに加えています。特に、2006年12月に出版されたハチャトゥリアンの交響曲第3番「祝典詩曲」は、多くの期待に応えた成果でした。

日本作曲家との関わり

全音楽譜出版社は、日本の著名な作曲家の作品も積極的に出版しています。特に、芥川也寸志や伊福部昭を始めとする作曲家たちの作品が含まれ、新進の作曲家である西村朗、池辺晋一郎、新実徳英、酒井健治などの作品も取り扱っています。この幅広いラインナップは、日本音楽界における多様性を反映しており、出版事業を通じて新しい音楽の発展に寄与しています。

楽器事業と音楽教育への貢献

楽器事業としては、教育向けのリコーダー、鍵盤ハーモニカ「旧ブランド・ピアニー」、打楽器などを製造・販売しており、ドが高く評価されています。さらに、モラレスブランド名義でのギター製造も行っており、特にエレキギターの人気モデルを展開しています。クラス音楽家の肖像画を利用したカレンダーを販売したこともあり、この戦略は学校音楽室に大きな影響を及ぼしました。その結果、文部省（現在の文部科学省）が1967年に「教材基準」の中に音楽家の肖像画を取り入れることになりました。

親会社との関係

2014年3月に、全音楽譜出版社は株式会社河合楽器製作所によって完全子会社化されました。また、2017年には親会社の出版部門である「カワイ出版」を譲り受け、自社の出版活動をさらに強化しました。

全音楽譜出版社は、音楽文化の発展に寄与することを目指し、今後も質の高い楽譜や音楽関連商品を提供していくことを約束しています。

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