新実徳英

新実徳英 - 日本の作曲家

新実徳英（にいみ とくひで）は、1947年8月5日生まれの日本の作曲家であり、桐朋学園大学院大学の教授および東京音楽大学の客員教授をつとめています。彼は豊かな創作活動を行い、特に合唱曲やオーケストラ作品において高い評価を受けています。

略歴

名古屋市に生まれた新実は、愛知県立旭丘高等学校を経て東京大学工学部を卒業。その後、東京藝術大学に進学し、さらなる音楽の探求に没頭しました。彼の作曲のスタイルは、師匠の間宮芳生や三善晃らの影響を強く受けながら発展していきます。特に、大学時代には合唱活動に積極的に参加し、音楽への情熱を深めました。

大学生活の中で、東大闘争という激動の時代にありながら新実は「ノンポリ」を貫き、作品制作に専念しました。卒業後には再度音楽の道を志し、愛知万博（愛・地球博）にて初演された歌劇「白鳥」が代表作の一つです。この作品は2005年に行われた公演で名誉ある佐川吉男音楽賞を受賞しました。

受賞歴と影響

新実の作品は数多くの賞を受賞しています。1975年の全日本合唱コンクール入選を皮切りに、1977年のジュネーヴ国際バレエ音楽作曲コンクールではグランプリを獲得しました。彼の音楽は、合唱曲や管弦楽曲の各ジャンルで多くの評価を得ており、文化庁舞台芸術創作奨励賞、レコード・アカデミー賞、そして国際的な音楽賞などを受賞しています。

作風の特徴

新実の作曲スタイルは、二つの主要な軸によって特徴付けられています。一方は彼の出世作である「アンラサージュ」に見られるような抽象的でへテロフォニー的な作品群であり、もう一方はより調性的な合唱曲です。1980年代には合唱曲が主流となり、特に「幼年連祷」などの作品が広く親しまれるようになりますが、オーケストラ作品については当初、苦労が多かったとされています。

1980年代末から1990年代にかけては、宇宙や生命というテーマを通じ、新実独自の音楽世界を表現するオーケストラ作品にも挑戦しています。この頃から彼の作品は二極化し、「白いうた 青いうた」シリーズなど、よりシリアスなテーマに取り組むようになりました。新実はこのプロセスを経て、「普通の合唱曲」に対する関心が薄れていったと語っています。

代表作の一部

歌劇

• - 白鳥（しろとり） (2004)

愛知万博を記念して委嘱された作品。

管弦楽作品

• - アンラサージュ I

混声合唱を伴った作品。

• - 交響曲第2番

混声合唱を含み、豊かな響きを持つ作品。

合唱作品

• - 混声合唱組曲「幼年連祷」

(1980)
吉原幸子の詩に基づく、感情豊かな作品。

• - 混声合唱曲集「やさしい魚」

(1982)
川崎洋の詩に基づく可愛らしい作品。

新実徳英は、彼の作品を通じて日本の音楽界に多大な影響を与え続けています。その豊かで多様な音楽スタイルは今後も多くの人々に愛され、広がっていくことでしょう。

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