八つ墓村 (1977年の映画)

映画『八つ墓村』について

『八つ墓村』（やつはかむら）は、1977年に野村芳太郎監督によって制作された日本映画で、横溝正史の同名小説が原作です。この作品は日本のミステリー映画の中でも異色の作品とされ、推理とオカルト要素が混在した内容で、多くの観客を惹きつけました。

概要

1970年代後半の横溝ブームを背景に、松竹は1975年にこの映画の制作を決定しました。制作には約2年3ヶ月が費やされ、7億円（約15億円相当）の制作費が投入されました。公開直後から19億8600万円の興行収入を記録し、松竹の歴史に残るヒット作となりました。特に、探偵金田一耕助役の渥美清を起用したことが注目され、当時の東宝作品とは異なる新たな作風を生み出しました。

あらすじ

物語の主人公、寺田辰弥は航空機誘導員を務めていましたが、新聞の尋ね人欄に掲載された内容をきっかけに、母方の祖父が待つ大阪北浜の法律事務所を訪れます。そこで出会った祖父は、突然の死を遂げ、辰弥は母方の親戚である美也子に導かれ、故郷の八つ墓村へと向かいます。彼は村での奇怪な出来事や過去の歴史を知る中で、自身の出生の秘密が明らかになり、家族としての役割を果たすために村の運命を背負うことになります。

物語は1566年に遡り、尼子義孝が落ち延びてきた八つ墓村の地での悲劇的な事件へと深く関わります。帰郷を果たした辰弥は村で再び連続殺人事件が発生するのを目の当たりにし、私立探偵金田一耕助が事件を解決すべくやってきます。金田一は、過去の呪いと事件の真相に迫り、村に隠された秘密を解き明かす重要な役割を果たします。

登場人物と配役

物語には多くのキャラクターが登場し、彼らはそれぞれ村の過去や事件に深く関与しています。辰弥を演じた萩原健一は、多治見家の後継者として苦悩する青年を見事に表現しています。金田一耕助役の渥美清は、冷静で知的な探偵の姿を見せ、ストーリーを効果的に進めました。美也子や多治見久弥などのサブキャラクターも、物語に厚みを与える重要な役割を果たしています。

製作背景

この映画は、松竹の強い意欲が感じられる作品であり、その制作には多くの困難が伴いました。特に、撮影期間が長く設定やロケ地の選定には多大な努力が必要でした。制作陣は、懐かしい農村と近代的な空港の風景を対比させる点も考慮し、アート要素を取り入れた演出が施されました。

視聴者の反応

公開当初から注目を集め、一部では「祟りじゃ〜っ」というセリフが流行語となるほどの人気を博しました。また、本作は1979年にテレビ放送され、視聴率34.2%を叩き出すなど、根強いファンを持つ作品として評価されています。

総括

『八つ墓村』は、探偵物としての要素だけでなく、オカルトや村の歴史に根ざした人間ドラマを描くことで、視聴者に強い印象を与えた作品です。その独特な物語展開やキャラクター設定が、多くの人々の心に残る要素となりました。推理と恐怖が入り交じるこの映画は、まさに日本映画の金字塔と言えるでしょう。

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