八七会

八七会（はちななかい）の歩みと活動

八七会は、1945年8月7日の豊川空襲を生き延びた豊川海軍工廠の従業員たちによって結成された団体です。この会は、歴史的な悲劇を忘れず、記憶を次世代へと引き継ぐために設立されました。正式に結成されたのは1957年8月7日で、以降、終戦時の空襲の記録や、被害者の慰霊活動、さらには語りべとしての活動を続けてきました。しかし、2020年8月7日に行われた慰霊祭をもって、その活動に終止符を打ちました。

豊川海軍工廠の歴史

豊川海軍工廠は、日本海軍の直轄工場として知られ、銃器や弾薬、信管を製造していました。第二次世界大戦中に「東洋一の兵器工場」と称されたこの工廠は、1945年8月7日、アメリカ軍の空襲によって甚大な被害を受けました。この空襲により、工員や職員、勤労動員されていた中学生や一般市民を含む、2,500名以上の命が失われました。工廠は壊滅的な状況に見舞われ、その後、残された者たちは、失われた命と向き合うことを余儀なくされました。

八七会の結成

戦争が終わって間もなく、犠牲者の遺族たちは表彰塔や墓を建立しました。豊川市新道町に設置された諏訪墓地や、報国団が建立した供養塔はその代表的なものです。その後、看護婦たちを中心とした「みどり会」が、工廠の戦没者を供養するための活動を始めました。この流れの中で、遺族が一堂に会して供養を行う必要性が高まり、八七会が結成されることとなりました。現役採用を受けた福本正栄氏が初代会長に就任し、以降は毎年行われる慰霊祭が八七会の重要な行事となりました。

会の活動

八七会の活動内容は多岐にわたり、大きく分けて四つの活動に集約されます。まずは供養行事として、毎月行われる供養塔の清掃や、全国から集まる遺族を招待した慰霊祭が挙げられます。彼岸の供養や盆の行事も重要な活動です。また、東三河地方の教育機関への出向きや取材への協力を通じて、語り部としての役割も果たしてきました。さらに、工廠や空襲の記録をビデオや出版物として残し、展示会への協力なども行ってきました。

記録の保存と未来への継承

八七会は、戦争の記録を次世代に残す意思を持ち、豊川海軍工廠平和公園の設立や記録館の建設を目指してきました。その成果が、美術作品として設置された「平和の像」や、資料が豊川市の平和交流館に所蔵されていることに表れています。

退潮と活動の終息

しかし、人口の高齢化や会員の減少は、活動の継続を困難にしました。2020年には遺族も高齢に達し、会の結成から63年を経て、最後の慰霊祭を迎えました。この年の活動をもって、八七会はその使命を完了しました。現在では、当時の語り部や関連資料が引き続き、豊川海軍工廠や豊川市の平和の象徴として人々に語り継がれています。

八七会の存在は、大切な歴史として私たちに教訓を与え、平和の重要性を再認識させるものであり、その足跡は永遠に色褪せることはありません。

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