八代国治

八代國治（やしろ くにじ）

生涯

八代國治は、1873年（明治6年）1月2日に、千葉県市原市に農家の次男として生まれました。1895年（明治28年）に上京し、國學院に入学。1897年（明治30年）に卒業後、東京帝国大学文科大学史料編纂掛で鎌倉時代史料の研究に携わりました。1901年（明治34年）には八代房吉の婿養子となり、八代姓を名乗ります。

1908年（明治41年）には、日本初の日本史辞典である『国史大辞典』の編纂に携わりました。1911年（明治44年）1月、國學院大學の講師となり、国史学会の創設にも参画しました。1915年（大正4年）には吉野朝時代の編纂主任となり、中世史の研究に力を注ぎました。

1916年（大正5年）11月には、「長慶天皇御即位に就ての研究」を発表し、長慶天皇の在位を論じました。1920年（大正9年）には、一連の研究成果をまとめた『長慶天皇御即位の研究』を刊行し、長慶天皇が歴代天皇に追加される上で決定的な役割を果たしました。この功績により、1924年（大正13年）に帝国学士院恩賜賞を受賞しました。また、1919年（大正8年）からは宮内省の依頼を受け、皇室領（荘園）に関する調査・研究にも従事しました。

1922年（大正11年）6月には國學院大學の教授に就任、同年11月には文学博士の学位を取得しました。1924年（大正13年）4月2日、アクチノミコーゼ（放線菌症）のため、51歳で生涯を閉じました。その功績を称え、勲六等瑞宝章が追贈されています。東洋史学者の白鳥清は甥にあたります。

研究内容と業績

八代國治は、中世史、特に鎌倉時代から南北朝時代にかけての研究に大きな足跡を残しました。特に、長慶天皇の在位を実証した研究は、歴史学界に大きな影響を与え、後の歴代天皇の確定に不可欠なものとなりました。また、皇室領（荘園）に関する研究にも尽力し、その成果は宮内省の調査にも貢献しました。

著書

八代國治は、数多くの著作を世に送り出しました。以下に主な著書を列挙します。

『国史大辞典』（共著）吉川弘文館、1908年
『吾妻鏡の研究』吉川弘文館、1913年
『武蔵武士』（共著） 博文館、1913年
『武相郷土史論』（共著）日本歴史地理学会 編、1917年
『長慶天皇御即位の研究』　明治書院、1920年
『長講堂領の研究』吉川弘文館
『新體日本歴史』冨山房、1923年
『新體女子日本歴史』冨山房、1923年
『国史叢説』　吉川弘文館、1925年
『足利庄の文化と皇室御領』吉川弘文館、1925年
『荘園目録』　八代恒治、1930年（1940年に明世堂書店）
『北畠顕能公』飯南多気郷友会『会誌』特別第3号、1933年

参考文献

澤田章「八代國治君小傳」『長慶天皇御即位の研究』明治書院、1927年、1-4頁。

関連事項

國學院大學
* 東京大学史料編纂所

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