八代斌助

八代斌助（やしろ ひんすけ）

八代斌助（1900年3月3日 - 1970年10月10日）は、日本のキリスト教伝道者であり、日本聖公会の首座主教を務めた人物です。教育者としても、数多くの学校法人を創設し、その運営に尽力しました。国際的な活動にも積極的に参加し、日本の国際的地位向上に貢献しました。

生涯

北海道函館市に、八代欽之丈司祭の二男として生まれました。釧路中学を経て立教大学予科に進学し、聖職者を目指します。1920年に日本聖公会神戸教区の伝道師補に任じられ、その後半世紀にわたり牧会、宣教に従事しました。

イギリスのケラム神学校に留学後、1947年には日本聖公会主教会議長となり、亡くなるまで首座主教の地位にありました。戦時中には、軍部や政府の圧力による日本基督教団への合同を迫られる中、日本聖公会を守り抜きました。

1948年には、連合軍総司令官マッカーサー元帥の特別許可を得て、戦後日本人として初めて渡航し、イギリス国王ジョージ六世に天皇陛下のメッセージを伝達、ロンドンで開催されたランベス会議に出席しました。この渡航は、ポール・ラッシュの支援によるものでした。

1949年には、アメリカでワシントンの極東委員会のフランク・ロス・マッコイ議長の依頼を受け、講和会議の下準備に尽力。帰途にはフィリピンや香港の日本人戦犯を訪問しました。翌年にはオーストラリアやニュージーランドを訪問し、親善使節としての役割を果たしました。

その後もたびたび海外を訪れ、テニスのデビスカップ争奪戦への日本の復帰を実現するなど、民間人として日本の国際的地歩向上に努めました。万国博キリスト教館会長としても活躍し、「世界のヤシロ」として知られるようになりました。

オックスフォード大学、トロント・トリニティーカレッジ、コロンビア大学、ゼネラル神学校からそれぞれ神学博士号、教理学博士号を授与されています。

教育者として

教育にも情熱を注ぎ、聖公会系の幼稚園、中学校、高校、大学などを多数創立。理事長、理事、院長、園長などを兼任しました。主な肩書としては、聖公会神学院理事長、立教学院理事長、松蔭女子学院理事長・院長、桃山学院理事長・院長、八代学院理事長・院長、聖路加看護大学理事長（聖路加国際病院理事長）、国際基督教大学理事、神戸市教育委員などがあります。

神戸国際大学及び神戸国際大学附属高等学校を運営する学校法人八代学院を創設。

人物

英国のマクミラン首相と親交があり、1956年には岸首相からイギリスの水爆実験中止を要請する特使として渡英を依頼されましたが、「宗教家は政治に指図されるべきでない」として断り、代わりに立教大学総長の松下正寿を推薦しました。

家族

子は日本聖公会神戸教区主教、八代学院理事長の八代欽一、日本聖公会首座主教で学校法人立教学院院長の八代崇。娘婿は神戸女学院大学学長の山口光朔です。

晩年

1970年10月10日にガン性腹膜炎のため70歳で永眠。同日付で正四位・勲二等旭日重光章を授与されました。墓所は釧路市紫雲台墓地にあります。

著書

主イエス (聖公会出版社, 1933)
神秘なる結合 (聖公会出版社, 1935)
新時代に応ずる我等の信仰 (日本聖徒アンデレ同胞会, 1936)
東亜新秩序の建設とキリスト教 (私家版, 1940)
聖歌の話 (明和書院, 1947)
神について語る (明和書院, 1948)
来世について語る (明和書院, 1948)
戦後の世界を巡りて (明和書院, 1948)
アムステルダムに先立ちて (明和書院, 1948)
イエスキリストについて語る (明和書院, 1948)
祈祷と聖奠について語る (明和書院, 1948)
聖餐式の友（編）(聖ミカエル出版社, 1949)
欧米に使して (聖ミカエル出版社, 1949)
九十九の羊は 八代斌助講話集 (キリスト新聞社, 1958)
八代斌助著作集 第1-3巻 (八代学院出版部編, 川島書店, 1965)

翻訳

旧約の話 (アレクサンダー・ネアン, 聖公会出版社, 1934)
神の福音 (フアーザー・ケレー, 聖公会出版社, 1936)
永生の希望 (ウォルター・ロバート・マシユース, 教文館, 1937)
新約の話 (ネアン, 聖公会出版社, 1938)
汝ら祈る時 (バーナード・クレメンツ, 聖公会出版社, 1939)


八代斌助は、宗教家、教育者、国際人として多岐にわたる分野で活躍し、日本の発展に大きく貢献した人物です。

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