八剣村

八剣村（やつるぎむら）は、かつて岐阜県羽島郡に存在した自治体です。現在の岐阜県羽島郡岐南町の西半分に位置し、おおむね上印食、下印食、徳田、徳田西、薬師寺、みやまち、八剣、八剣北、石原瀬、平成（一部）といった地名に相当する地域を含んでいましたが、近年の区画整理などにより、現在の地名とは完全に一致しない箇所もあります。

村の名称は、この地域に鎮座する八剣神社に由来するものと伝えられています。

村が発足した際に包含していた大字およびその配下の小字は以下の通りです。

大字上印食
字寺田
字流
字五十鈴
字生島
字堤外
大字下印食
字中川田
字下川田
字上ノ切
字中縄
字葭原
字上心分
字霜田
字堂前
大字徳田
字上野田
字中山
字葭原田
字宮東
字宮西
字宮南
字宮北
字出口
字大前田
字芝原
字御茶屋
字道東
字清水
字高野前
字中道
字大西
字申墳
字石原瀬
大字薬師寺
字奥田
字大跡
字川田
字西町
字中町
字東町
字堤外ノ五
字堤外ノ六
字堤服
大字八剣
字大山
字藤木
字池田
字川田大
字川田
字中食西
字中食東

この地域は、古くは尾張国葉栗郡の一部でした。しかし、天正14年（1586年）に発生した木曽川の大規模な洪水によって流路が大きく変化し、それまで葉栗郡であった地域のうち、新たな木曽川の北岸となった地域が羽栗郡と改称され、美濃国に編入されることになりました。

江戸時代においては、この地は複数の領地に分割されていました。具体的には、現在の上印食村と下印食村は磐城平藩の切通陣屋領、徳田村と印食新田は幕府直轄領である天領、そして薬師寺村は尾張藩領となっていました。

明治時代に入り、行政区画の再編が進められます。明治30年（1897年）4月1日には、羽栗郡と中島郡が合併し、新たに羽島郡が発足しました。そして、同じく明治30年4月1日に、下印食村、徳田村、上印食村、薬師寺村の四つの村が合併して、八剣村が誕生しました。

昭和の大合併と呼ばれる市町村合併の波の中で、八剣村もその歴史を終えることとなります。昭和31年（1956年）9月26日、八剣村は隣接する上羽栗村と合併し、新たな自治体である岐南村が発足しました。この合併により、八剣村は同日をもって廃止されました。この合併の過程では、薬師寺地区の一部住民から笠松町への編入を希望する住民運動も発生しましたが、村と住民との間で話し合いが持たれ、最終的に村内での解決に至ったという経緯があります。

村域には、名古屋鉄道名古屋本線が通っており、境川駅と八剣駅が村内に設けられていました。

教育機関としては、村立の八剣小学校（現在の岐南町立西小学校）があり、また岐阜市との組合立で厚八中学校も設置されていました。

こうして、八剣村は明治期から昭和中期にかけて約60年間存続した後、周辺自治体との合併を経てその名を現在の地図から消すことになりました。

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