八塔寺ふるさと村

岡山県備前市吉永町加賀美に位置する八塔寺ふるさと村は、標高約400メートルの台地に、茅葺き屋根の民家や段々畑が点在し、日本の古き良き農村景観を今に伝える場所です。県指定のふるさと村として、歴史と文化、自然が調和した独特の雰囲気を醸し出しています。

歴史

八塔寺ふるさと村は、古くは山岳仏教の道場として歴史を刻んできました。現存する茅葺き屋根の民家は、その歴史を物語る貴重な存在です。これらの民家は、民俗資料館や宿泊施設として整備され、訪れる人々に当時の生活様式を伝えています。現在、村には10数軒ほどの民家が点在しており、静かで落ち着いた空間が広がっています。

映画・ドラマのロケ地

八塔寺ふるさと村は、その独特の景観から、多くの映画やドラマのロケ地としても利用されてきました。1984年には映画『黒い雨』、1996年には『八つ墓村』、2005年にはテレビドラマ『火垂るの墓』、そして2014年には映画『新しき民』の撮影が行われました。これらの作品を通して、八塔寺ふるさと村の風景は多くの人々の記憶に残っています。

主な施設・寺院

民俗資料館: 江戸時代に建てられた茅葺き民家を整備した資料館で、当時の農機具や生活用品が展示されています。入館料は無料です。
照鏡山八塔寺: 天台宗の寺院で、本尊は十一面観音です。境内には池田光政が寄進した釣鏡があります。
恵日山高顕寺: 真言宗の宿坊寺院で、本尊は不動明王です。寶寿院と明王院が合併して現在の名称となりました。
八塔寺山: 標高538メートルの山で、頂上には行者堂があります。途中には展望台があり、天気が良ければ小豆島を望むことができます。
日吉神社（山王宮）: 樹齢約700年のコブノキが境内にある神社で、吉永町の天然記念物に指定されています。
国際交流ヴィラ: かつては外国人専用の宿泊施設でしたが、現在は日本人も利用可能です。茅葺きの歴史的な建物で構成されています。
寿光庵: 茅葺き屋根のレストランと宿泊施設を備えた場所です。
八塔寺山荘: 茅葺き屋根の農家を移築・改造した宿泊施設です。
五輪塔「石小詰の塚」: 鎌倉時代の石造で、行者が祈念し成仏したと伝えられています。
皇屋敷跡: 承久の乱で敗れた後鳥羽上皇が宿泊したと伝わる場所で、現在は石碑が建てられています。
山上伽藍八塔寺の旧跡・三重塔跡: 戦乱で焼失した本堂と三重塔の跡地です。三重塔は再建されず、礎石のみが残っています。
中国自然歩道休憩所（水車小屋）: 茅葺きの水車小屋と、トイレや休憩所、公園が整備されています。
吊り橋: 木造の吊り橋が架かっています。
三国郵便局: レトロな木造の郵便局で、かつては集配局でしたが、現在は廃止されています。
飯盛山城跡: 赤松義村の家臣が守備した城の跡です。
のぞみが丘キャンプ場: キャンプ場があります。
ふるさと館: 地域の情報発信拠点です。

交通アクセス

JR西日本 吉永駅からバスまたはタクシーで約20分。
山陽自動車道 備前ICから北へ約40分。
中国自動車道 佐用ICから373号線を南へ約45分。
中国自動車道 美作ICから374号線を南へ約55分。

その他

八塔寺ふるさと村は、映画やドラマのロケ地としてだけでなく、日本の原風景を体験できる場所として、多くの人々に愛されています。歴史的な建造物や寺院、豊かな自然に触れながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

関連項目

ふるさと村 (岡山県)
石火矢町ふるさと村
吹屋ふるさと村
備前

外部リンク

おっつあんどこなら八塔寺〜
八塔寺国際交流ヴィラ

参考文献

『備前市文化財地図』、「山上伽藍八塔寺の三重塔跡」・「山上伽藍八塔寺の旧跡」、備前市教育委員会編
『吉永町史通史編1』、吉永町史刊行委員会編、1990
『吉永町史通史編2』、吉永町史刊行委員会編、2006
* 『岡山のふるさと村』、日本文教出版

もう一度検索