八島 (山口県)

八島の概要

八島（やしま）は、山口県熊毛郡上関町に所属する瀬戸内海に浮かぶ島です。本州から約12km沖合にあり、山口県の最南端に位置しています。2015（平成27）年の国勢調査によると、八島には24世帯、34人の住民が暮らしています。

地形と自然

八島の面積は4.17平方キロメートルで、主に「大島」「小島」「与崎」と名付けられた小高い地形が砂州でつながっています。この独特な地形のため、島は二つの島のようにも見えます。島の北側にある「与崎」は、約1kmにわたる岬状の地形で、ここには広葉樹（カシワ）と針葉樹（ビャクシン）が共生する特異な植生が見られます。

「与崎」の名称は、壇ノ浦の戦いに先立って安徳天皇が八島に立ち寄り「よい崎」と称賛したことに由来するとも言われています。この地は長い間神聖視され、森は伐採されずに保存されてきました。カシワとビャクシンが優占するこの植生エリアは非常に珍しく、中国地方では八島にしか見られないため、2003年には「八島与崎のカシワ・ビャクシン群落」として山口県の天然記念物に指定されています。

歴史

八島の歴史は古く、平氏の人々が壇ノ浦の戦いに敗れた後に住み着き、開拓が進んだと伝えられています。その影響から、島には多くの平家伝説が残されています。特に「船越」地区には「船隠し」と呼ばれる場所があり、ここは平氏が戦の前に船を隠したとされる神秘的なスポットとなっています。平家伝説は地域の文化や人々の生活に深い影響を及ぼしていることが伺えます。

現代の八島

最近では、かつて島の北側で行われていた黒毛和牛の放牧が廃止され、その地域は草原へと変貌しました。八島と上関港との間には定期航路が設けられており、一日三便が運航されています。夏の期間中は海水浴客やキャンプを楽しむ人々で賑わいを見せるものの、それ以外の季節は非常に静かな環境が広がっています。

過疎化が進行する中で、八島に住む人々の多くは年金生活を送っています。集落の中心には八島診療所があり、かつては常駐していた医師がいましたが、現在は岩国医療センターから月二回の当番医が訪れる形で運営されています。また、港近くには八島簡易郵便局も設置されています。交通面では、大型車が通行できる道路はほとんど存在せず、小さな島の特性が色濃く残っています。

まとめ

八島は、自然の美しさと歴史的な背景を有する魅力的な島です。人口は減少しているものの、島民は地域の伝説や文化を守りながら静かに日々を過ごしています。八島は穏やかな時間が流れる場所で、訪れる人々に自然の豊かさと人々の温かさを感じさせることでしょう。

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