八幡前駅 (北海道)

八幡前駅（はちまんまええき）は、かつて北海道白糠郡音別町（現在の釧路市音別町）に存在した、雄別炭礦尺別鉄道線の駅です。同線の廃止に伴い、駅も廃止されました。

概要

軽便運炭軌道時代には、現在の八幡前駅よりも新尺別駅に近い場所に「中間駅（ちゅうかんえき）」という名前の駅が存在していました。この中間駅は、軽便運炭軌道において唯一の交換駅でした。

その後、軽便運炭軌道から専用鉄道に移行する際、交換駅としての機能はなくなりましたが、付近にある原野八幡宮に尺別地区唯一の桜林があったこと、そして原野小学校への通学の便を図るため、中間駅の代替として八幡前駅が設置されました。

興味深いことに、八幡前駅から新尺別駅までのルートは、軽便運炭軌道線と専用鉄道線で異なっていました。前者は尺別川の左岸を、後者は右岸を北上していました。軽便運炭軌道の跡地は、廃止後すぐに道路として利用され、現在の北海道道361号尺別尺別停車場線の一部となっています。

尺別原野の中に位置していた八幡前駅は、地域住民から「原野駅」と呼ばれることが多かったようです。また、専用鉄道への移行に伴い、駅の位置が大きく変わったにもかかわらず、「中間駅」と呼ぶ人もいました。

歴史

1920年（大正9年）1月22日：北日本鉱業尺別炭礦の軽便運炭軌道運用開始に伴い、起点から約6km地点に交換駅として中間駅が開業。
1928年（昭和3年）12月17日：雄別炭礦鉄道の経営となる。
1942年（昭和17年）11月3日：尺別専用鉄道の駅として八幡前停留所が開業。軽便運炭軌道の廃止に伴い、中間駅は廃止。
1962年（昭和37年）1月1日：地方鉄道としての尺別鉄道の駅となる。
1970年（昭和45年）4月16日：尺別鉄道の廃止に伴い、八幡前駅も廃止。

駅構造

八幡前駅は、板張りの単式ホーム1面を東側（新尺別方面に向かって右側）に有していました。一方、軽便運炭軌道時代の中間駅は、島式ホーム1面2線を有する駅で、給水設備も併設されていました。

隣の駅

雄別炭礦尺別鉄道線

社尺別駅 - 八幡前駅 - 新尺別駅

参考文献

尺別鉄道 50年の軌跡 大谷正春著
寺田裕一 「消えた轍 ローカル私鉄廃線跡探訪 第5回 雄別鉄道・雄別炭礦鉄道尺別鉄道」『Rail Magazine』2002年2月号（No.221）pp.83-96

関連項目

日本の鉄道駅一覧
* 廃駅

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