八幡町高岡

八幡町高岡（はちまんちょう たかおか）

八幡町高岡は、北海道石狩市に位置する地域であり、「高岡」とも呼ばれています。その地名の由来、地理的特徴、歴史について詳しく見ていきましょう。

地名の由来

八幡町: 1871年（明治4年）の戸籍改めの際、漠然と「石狩」と呼ばれていた一帯に町名をつける必要が生じ、石狩八幡神社が町内にあったことから名付けられました。ただし、八幡町成立の時点では、高岡の開拓はまだ始まっていません。
高岡: 標高20メートルの高台地であることから名づけられたと考えられています。

地理

旧石狩市域の北東部に位置し、東は当別町と接しています。高台部分は標高10 - 20メートルの平坦な地形で、西側の下段部分は北の知津狩川と南の聚富川に挟まれています。

歴史

入植以前

現在の石狩市中心部が海面下にあった縄文海進期にも、高岡は陸地でした。そのため、発見される遺跡の年代は市内の他の場所よりも古く、約6000年前までさかのぼることができます。しかし、近代に至るまで村落は形成されず、明治時代初期でもわずかに炭焼きが行われる程度でした。

明治18年の入植

1885年（明治18年）4月、山口県玖珂郡中津村からの20戸106人が、札幌県移民取扱手続により渡航費・農具費・種子費などの補助を得て北海道へ移住しました。彼らは帆船「遠江丸」に乗船し、小樽港を目指しました。約3週間の船旅の中で子供が生まれ、アメリカ人船長が「フネ」と名づけたという逸話があります。

移住者たちは初めから高岡に向かっていたわけではなく、渡航保護願に記載された目的地は「札幌県札幌区月寒村」でした。小樽の人から「ここに留まるように」と勧められたそうですが、小樽を出た一行は軽川に着いたものの耕作適地が見つからず、一部は札幌や広島、千歳まで見て回りました。

「石狩はサケやマス漁で大にぎわい」という話を聞き、石狩へ向かうことにしました。能量寺や漁師の井尻らの世話になり、蘇我信玄の斡旋を受けて知津狩川沿いに上流へ向かった一行は、やがて落ち着き先を見つけました。小屋を作り、開墾を始めましたが、翌春の融雪期には河川が氾濫し、ほとんどの人が高台へ移住することになりました。

高岡の土地は肥沃で、ソバ・ムギ・アワ・ヒエなどは無肥料でもよく育ちましたが、高台では井戸を掘るのが難しく、飲料水の確保に苦労しました。

明治時代後半

1889年（明治22年）、竹中與右衛門が水稲栽培を成功させ、石狩での米作に弾みをつけました。1895年（明治28年）には山口県からの移民第2陣となる37戸165人が来道し、多くは高岡に落ち着きました。1900年（明治33年）には釜谷臼から兵庫県人の移住者25戸を迎え、1904年（明治37年）ころには隣の五ノ沢と合わせると200戸規模の集落となりました。

大正・昭和時代前半

大正、昭和時代に入ると、高岡は農業基盤が固まり活気に満ち溢れていました。「高岡一心分団」という青年団は、基金の積み立てや植樹地の保有、通信教育や夜学の活用など、精力的に活動しました。商店数が増え、地元の購買力が増していたことがうかがえます。

しかし、1941年（昭和16年）に太平洋戦争が始まると、働き手が戦地へ駆り出され、田畑は荒れ、生活は困窮しました。

昭和時代後半以降

高岡は農業が盛んな土地でしたが、野菜栽培は長らく自家用の域を出ませんでした。終戦前後の食糧難を機に野菜への関心が高まり、大都市圏である札幌への出荷を見越して、ダイコンやニンジンなどの根菜類を中心に作付面積が増えました。1970年（昭和45年）に始まった米の生産調整により、水田からの転作が求められるようになって以降、高岡産の野菜の重要性はさらに増していきました。

脚注

参考文献

『石狩町誌』 上巻、石狩町、1972年3月31日。
『高岡百年：石狩高岡開基百年記念史』高岡開基百年記念事業協賛会、1984年6月30日。

外部リンク

石狩ファイル 0068 石狩高岡の開拓
石狩ファイル 0112 高岡の歴史

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