八幡賢司

八幡 賢司（やはた けんじ）

1980年11月4日生まれ。愛媛県出身の元陸上競技選手。専門種目は110メートルハードル。そのキャリアを通じて、国内トップレベルでの活躍を続け、国際大会への出場経験も持つ。

経歴

八幡氏は、愛媛県に生まれ、東京の北区立滝野川紅葉中学校、修徳高等学校を経て、順天堂大学、さらに同大学院へと進んだ。卒業後は株式会社モンテローザに所属し、選手としてのキャリアを積んだ。

陸上競技との出会いは中学時代である。最初に挑戦した種目は走幅跳であったが、次に試した110mハードルで競技人生の方向性が定まる。初めて出場した大会では、どちらの種目も最下位という結果に終わったものの、不思議と110mハードルで味わった悔しさの方が強く心に残ったというエピソードがある。

高校は陸上競技の強豪校である修徳高校に進学。ここで才能を開花させ、1998年には高校生アスリートにとって最大の目標であるインターハイ（全国高等学校総合体育大会）の110mハードルで優勝を飾り、全国タイトルを獲得した。

1999年に順天堂大学に進学。大学、そして大学院時代は、高校時代のような全国的なタイトル獲得には至らなかったものの、日本学生対校選手権（日本インカレ）で2位となるなど、国内トップレベルで活躍の場を広げた。特に大学4年時には、目標としていた13秒台に自己ベストを縮める成長を見せた。

2005年にモンテローザに入社し、社会人選手としての第一歩を踏み出す。入社1年目から自己記録を更新し、13秒85をマークするなど着実に力をつけていった。

キャリアにおける一つの大きな節目となったのは2007年である。同年5月の東日本実業団選手権において、当時、日本歴代5位に相当する13秒58という驚異的な好記録を樹立。これは、同年8月に大阪で開催される世界選手権の参加標準記録B（13秒62）を見事突破する記録であった。続く6月の日本選手権では、世界選手権代表選考会を兼ねたレースで2位となり、悲願の世界選手権日本代表の座を掴んだ。世界選手権の約1ヶ月前に行われたアジア選手権にも出場し、決勝に進んで5位に入賞している。迎えた8月の大阪世界選手権では、世界の壁に阻まれ、予選ラウンドで敗退した。

その後も国内ハードル界の第一線で活躍を続け、2011年6月の日本選手権では、優勝した選手と僅か0秒02差の2位となり、惜しくも初優勝には手が届かなかった。同年7月には、2007年以来2度目となるアジア選手権出場を果たし、前回に続いて決勝に進出。4位と同タイムながら着差により5位という成績を収めた。

そして、2012年6月の日本選手権で、ついにキャリア最大の栄光を手にする。この大会で110mハードルを制覇し、31歳というベテランの域に達して悲願の日本一に輝いた。長年の努力が結実した瞬間であった。

2014年10月、全日本実業団対抗選手権への出場を最後に、現役生活にピリオドを打った。引退後、所属していたモンテローザ陸上競技部で助監督を務めた（現役最終盤は選手兼任）。しかし、同部は2017年3月末をもって廃部となった。

人物・エピソード

競技者としては、ハードル専門でありながら純粋なスプリント能力は特筆するほど高くなかったと語る。100mと200mの自己記録は、高校時代にマークした11秒24と21秒86である。

2007年の大阪世界選手権出場時には、テレビ局から「居酒屋ハードラー」というユニークなニックネームを付けられたことがある。これは、彼の所属先が居酒屋チェーンを展開する企業であったことに由来する。

趣味は車いじり。所属先のモンテローザ陸上部では、チーム内で最も手先が器用であると評判だった。「リセット八幡」という異名を持ち、宴会後の片付けをわずか1分で完了させるという逸話も残されており、その几帳面さと迅速さがうかがえる。

キャリア自己ベストは13秒58であり、これは現在も日本歴代10位タイにランクインする優れた記録である。

主な成績

• - 1998年 インターハイ 優勝
• - 2007年 アジア選手権 5位
• - 2007年 大阪世界選手権 予選敗退
• - 2011年 日本選手権 2位
• - 2011年 アジア選手権 5位
• - 2012年 日本選手権 優勝

八幡賢司氏は、高校での全国制覇から始まり、社会人での日本一、そして世界選手権出場と、息の長い選手生活を送った。特に、31歳での日本選手権初優勝は、多くの陸上ファンに感動を与えた。

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