八股榎大明神

八股榎お袖大明神について

八股榎お袖大明神は、愛媛県松山市に位置する神仏習合の祠で、地域の人々に長年愛されてきました。この祠は、松山城の堀の南東、松山市役所の前にある社地の一角にあります。特に目を引くのは、本殿の横にそびえる榎の大木で、その歴史とも深く結びついています。

祭神と歴史

この場所の祭神である、お袖狸は、かつて勝山城に住んでいたと伝えられています。伝説によると、1830年（文政13年）頃、この地域に生えていた榎の木に住み着いたのが、お袖狸であり、彼女が神通力を持つ存在として崇められたのです。この祠の起源は、お袖が榎の木に居を構えたことから始まります。

残念なことに、1981年（明治44年）には松山電気軌道の開通に伴い、榎の大木が切り倒されてしまいましたが、その時に祠は常楽寺境内の六角堂に合祀されました。この六角堂には、現在でも八股榎大明神が祀られています。

その後、別の榎の木の下に新たに祠が建てられましたが、こちらの榎も伊予鉄道による路面電車の複線化の影響で切られそうになりました。切り倒す作業が難航し、昭和9年（1934年）には大井村の喜福寺に移植されましたが、古木であるためにほどなく枯れてしまいました。このような経緯の中で、大井駅で降りた一人の女学生が、お袖狸の化身として噂されるようになり、付近の明堂への参詣者が増えるというエピソードも存在します。

その後お袖狸は松山城の堀に戻り、昭和20年代には新たに生えた榎の木に住み着いたと言われています。そして昭和27年から28年の頃には、現在の小さな祠が建てられました。続いて昭和30年（1955年）には仮殿が建てられ、翌年には本殿が完成し、それ以降、地域の人々によって祭祀が続けられています。

最近の状況

2024年（令和6年）9月23日午後5時頃、神社の榎の大木の一部が倒れているのが発見され、地域住民を驚かせました。この出来事は、榎の大木が長年地域に根付いていることを再認識させてくれる出来事でした。

交通アクセス

八股榎お袖大明神へは、伊予鉄道市内電車の市役所前駅で下車し、徒歩1分ほどの距離に位置しています。1911年に設置された当時の駅名は「八股前」であり、その歴史を感じることができます。

周辺の施設

祠の周囲には、城山公園や愛媛県庁、松山市役所、伊予銀行本店、日本銀行松山支店などの施設が点在しており、訪問者が周辺を散策しながら様々な景観を楽しむことができる場所です。地域の歴史を感じながら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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