公傷制度

公傷制度の概要

公傷制度とは、大[[相撲]]においてかつて存在した、非横綱の力士が本場所中に負傷した際の救済措置です。この制度は、通常の休場と異なり、負傷により休場した場合でも負け越しとして扱わないことを目的として設けられました。具体的には、公傷が認められると、その場所は休場として番付の調整が行われ、次の場所においても同じ地位を維持できます。公傷は1回の負傷につき1場所の全休が認められます。

制度発足以前

公傷制度の必要性が高まった背景には、大[[相撲]]の開催数が増加したことがあります。1957年（昭和32年）から年6場所制が導入された結果、負傷による休場の影響が大きくなりました。特に1971年（昭和46年）には、いくつかの重要な出来事がありました。例えば、横綱玉の海が急病で亡くなったり、力士が負傷して番付が大幅に下がった事例が相次ぎ、協会内での問題が国会で取り上げられました。

制度の導入

こうした背景を受けて、1972年（昭和47年）に公傷制度が正式に設けられました。その適用初回は、幕下の宍戸が1972年3月場所での負傷により認定されたことに始まります。制度適用のためには、審判委員による現認証明と医師の診断書が必要とされ、このプロセスを経て公傷が認定されます。当時の基準は厳格であり、「立ち上がれた者には公傷認定は出さない」というものでした。

平成時代の変化

平成以降、公傷制度の運用には変化が見られ、全治2ヶ月以上の診断書が出された場合に公傷認定される傾向が強まりました。この流れの中では、仮病や不正診断が疑われる事案も取り上げられるようになりました。1992年の事件では審判長が「公傷は骨が折れるか、筋が切れるかだ」と発言し、一時的に認定が見送られたものの、後に診断書が提出されたことで公傷が認められました。こうした状況は、全休力士が増加する原因となりました。

制度の廃止とその後

2003年（平成15年）には、公傷制度の廃止が決まりました。協会は、力士が厳格に自己管理を行う必要があるとの考えからの措置でした。この廃止後も休場者数が減少することはなく、一部の力士は怪我を無理に押して出場し、さらに悪化する事例が見受けられました。その後も公傷制度の復活が期待される声が上がっていますが、現実的には難しいとの見解が示されています。

新型コロナウイルス感染症の影響で、番付が変わらない形での休場が一時的に認められた際には、この現象を「公傷」と位置づける考えもあります。

まとめ

公傷制度は、大[[相撲]]における力士の負傷時の保護措置として重要な役割を果たしましたが、廃止後も力士の健康管理や休場の問題は解決されていません。今後、制度の復活を求める声が高まる中で、力士たちがどのように自己管理を行っていくのか、注目されるところです。

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