公定力

公定力についての解説

公定力（こうていりょく）とは、行政行為に伴う法的効力の一種であり、特に法論理的な観点からの効力を指します。行政行為には執行力や形式的確定力（不可争力）、さらには実質的確定力といったさまざまな効力が存在していますが、公定力はそれらとは異なる特徴を持っています。公定力は、単独の明確な実定制度ではなく、さまざまな具体的な実定法制度に整合性をもたらす法理論的な効力とされています。日本においてこの概念が初めて言及されたのは昭和8年（1933年）のことです。

公定力の意義と特性

公定力は、実体法的な観点から見ると、行政行為が一方的に法律効果を生じさせる力、もしくは行政行為の有効性を推定する力を持っています。これに対して、手続法的には、行政行為の実体法に基づいた内容や効果を、手続き的な観点から実現する力と捉えられています。一般的に公定力は、解除条件付きの確定力として説明され、たとえ処分の適否が問われなくとも、取り消されるまでは相手方を拘束する自力執行性があるとされています。

公定力の根拠

公定力の成立には、取消訴訟に関する排他的管轄が必要であり、これは公定力の制度的な根拠として位置づけられています。取消訴訟においては、行政行為の適法性や違法性についての判断が行われ、その結果として公定力が発生します。このように、公定力は法的な手続きに依存しており、それに基づいて効果を持つものです。

公定力の限界

しかしながら、公定力には限界があります。具体的には、取消訴訟の排他的管轄が及ばない場合には、公定力は適用されません。以下に、いくつかの具体例を挙げて公定力の限界を説明します。

行政行為が無効の場合

行政行為が無効とされた場合、その公定力は残存しないことが明白です。無効な行為に基づく公定力は認められません。このようなケースでは、行政行為そのものが法律的な効力を持たないため、当然に公定力も発生しないことになります。

国家賠償請求訴訟における行政行為の違法性

国家賠償請求訴訟において、行政行為の適法性や違法性が争点となる場合もありますが、公定力はこの違法性を問うことなく成立します。公定力の本質として、適法性や違法性を問わずその効力を持つため、具体的な違法性を使用して国家賠償請求の適法性を問う必要はありません。

刑事裁判における行政行為の違法性

さらに、刑事裁判においても行政行為の違法性が争われることがあります。この場合、違法性の承継が認められている際には、公定力の適用には配慮が必要です。違法性が認められる場合、それに基づく公定力の発生には慎重になる必要があります。

結論

公定力は行政行為に関する重要な法的概念であり、その効力や限界を理解することは、行政法の運用において欠かせない要素となります。このような理論的な背景を理解することで、行政行為の評価や取り扱いに関するより深い理解を得ることができるでしょう。

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