公費負担医療

公費負担医療について

公費負担医療（こうひふたんいりょう）とは、医療費の大部分または全額を公的に管理された基金が負担する医療制度を指します。この制度は世界中のさまざまな国で取り入れられており、その内容や実施方法は地域によって異なります。

各国の制度

ヨーロッパ

北欧諸国やイギリス、イタリアなどが公費負担医療制度を採用しています。たとえば、イギリスでは国民保健サービス（NHS）が提供され、ほとんどの入院および外来診察が無料です。処方薬は定額制が取られていますが、特定の条件を満たす人々（60歳以上、16歳未満、フルタイムの学生など）には無料で提供されます。

イタリアでも、国民保健サービス（SSN）を通じて医療費が公的に負担されています。アイルランドは一般税収を主要な財源とし、必要な者には医療カードを交付して全額を公費で負担しています。北欧諸国は高福祉高負担のモデルを注視しており、特にデンマークやスウェーデンでは一般税収に基づいた制度が整備されています。

デンマークでは、登録された総合診療医への訪問が無料で、スウェーデンでは18歳以下の医療を無償で提供しています。また、妊娠中の女性に対する健康診断も受診料はかかりません。

北米

カナダの医療制度は、公的資金によって医師への受診や入院が賄われています。政府は医療サービスを直接提供することはなく、民間施設がその役割を担っています。オーストラリアでも、2%程度の所得税が医療資金の基盤とされており、特に入院は全額公費負担となる仕組みがあります。

日本の制度

日本における公費負担医療は、制度が非常に複雑です。一部の医療マターに関して全額公費で負担されるものもありますが、多くは医療保険制度に基づいて自己負担分のみを公費負担としています。国と地方自治体の負担割合もさまざまに異なり、乳幼児医療制度など各自治体における独自の公費負担制度もあります。

自治体ごとに、実施される制度の内容や対象者、負担額、認定基準なども異なるため、住む地域によって受けられる医療サービスの内容が大きく変わることが一つの特徴です。

種類

公費負担医療には国の法律に基づく制度と地方自治体の条例に基づく制度の2種類があります。具体的な公費負担制度には、

• - 公害医療
• - 支払い能力がない人への支援
• - 刑事収容施設の被収容者への医療
• - 予防接種による事故への補償

地方自治体においても多くの公費負担制度が存在しており、乳幼児医療費の助成制度やひとり親家庭医療費助成、障害者医療費助成、小中学生医療費助成など、各地域で異なる制度が運用されています。これにより、各自治体の条例に基づいて医療へのアクセスや負担形態が変わります。

廃止された制度

過去には通院医療費公費負担制度（精神保健福祉法）なども存在しましたが、現状ではそういった制度は廃止されています。公費負担医療に関する枠組みは今後も変化する可能性があるため、最新の情報を常に把握することが重要です。

公費負担医療は、人々の健康を守るうえで大変重要な役割を果たしており、各国の福祉政策とも密接に関連しています。

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