六ツ見橋

六見橋（むつみばし）

岐阜県下呂市、飛騨川に架かる六見橋は、県道440号線の一部を担う重要な橋です。下呂温泉街のすぐ下流に位置し、地元住民の生活を支えるとともに、観光客にも親しまれています。橋からは下呂温泉街を一望でき、美しい景観を楽しむことができます。

概要

六見橋は1931年（昭和6年）に建設されました。全長96.3メートル、幅4.4メートルの下路鋼ボーストリングトラス[[橋]]で、その美しい構造は土木技術の粋を集めたものです。橋は、下呂市少ケ野と下呂市森を結び、大阪鉄工所によって製造されました。

歴史

六見橋の歴史は古く、かつてこの場所には「塚田の渡し」という渡船がありました。奈良時代から重要な交通手段として利用されていたこの渡船は、地域の発展に大きく貢献しました。その後、時代の流れとともに橋の必要性が高まり、現在の六見橋が建設されるに至りました。

橋の名前の由来は、下呂の美しい景観を一望できることから「六ツ見橋」と名付けられたとされています。この「下呂六景」とは、中根山（下呂富士）、温泉寺の桜、湯ヶ峰の夕映えなどを指し、橋からはこれらの絶景を一度に楽しむことができます。

また、昭和初期には、詩人の野口雨情が下呂温泉を訪れ、「下呂歌謡」を作詞しました。その歌詞には「六ツ見橋ゆきや　暑さは志らぬ涼しい川風　そよそよと」という一節があり、当時の橋の様子や、涼やかな川風を感じることができます。この歌は、橋が地元の人々にとって憩いの場であったことを物語っています。

現在

六見橋は現在も地域の重要なインフラとして利用され続けています。2010年（平成22年）には、「近代温泉街下呂を実質的かつ象徴的に牽引した橋」として、土木学会選奨土木遺産に選ばれました。これは、橋が持つ歴史的価値と、地域社会への貢献が認められた証です。

橋の右岸にはJR高山本線が走り、岐阜県道88号線にも接続しており、交通の要所となっています。橋の上からは、下呂温泉街の美しい風景だけでなく、飛騨川の雄大な流れも楽しむことができ、多くの観光客が訪れます。

六見橋は、単なる交通手段としての役割だけでなく、下呂の歴史と文化を伝える重要な存在です。訪れた際には、その美しい姿を眺めながら、橋が持つ歴史と地域の魅力を感じてみてください。

関連項目

飛騨川大橋
はぎわら大橋

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