六口島

六口島（むぐちじま）

六口島は、岡山県倉敷市下津井に位置する有人島で、下津井港の南西約2kmの沖合にあります。島周囲の海は約5.9kmであり、海抜は約140mと高く、面積は1.09km²です。地勢は急な山地が広がっており、豊かな自然が魅力です。松の林が特に目立ち、多くの国有林が存在します。

地理と名の由来

六口島の名称は、島内に存在する6つの谷から由来しています。谷の名前は、東側から順に「一番谷」「二番谷」と名づけられ、最後は「六番谷」まで続いています。北側には濃地諸島、北西には網代諸島・水島群島、西には笠岡諸島、そして南側には塩飽諸島が接しています。

歴史

この島には古くから人々が住んでいたことが、出土したサヌカイトを用いた石器や縄文土器から確認されています。江戸時代初期には、島に花崗岩の採石場が設立され、これらの石材は関ヶ原の戦い後、大坂城の再建に使用されました。

1646年には岡山藩がこの島を領有し、後に馬飼い場として利用されました。初期の人口は3戸に過ぎませんでしたが、明治までに増加し、1905年には筆海小学校の六口島分教場が設置されました。しかし、わずか13年後には休校となりました。

その後、戦後の入植者の増加に伴い、耕地の開発が進められました。1960年には人口が最盛期の46人を記録しましたが、その後は減少傾向にあります。また、1954年に児島市立下津井小学校の分校が設立され、1957年には中学校の分校も設けられましたが、1960年代にはいずれも休校となり、廃校となりました。

観光と産業

現在、島の主要な産業は観光業です。観光ホテルやキャンプ施設、海水浴場などが開設され、観光客が訪れるようになりました。2016年には、来島者数が年間約2,000人に達しています。井戸水を用いて水道が供給されており、自然に囲まれた環境が魅力的です。

特に注目すべきは西岸に位置する「象岩」という奇岩で、象の形をした特徴的な岩であり、国の天然記念物に指定されています。1933年には、歌人の与謝野鉄幹と与謝野晶子夫妻がこの島を訪れ、それぞれが短歌を詠みました。

アクセス

六口島へのアクセスは、定期船が運航されていないため、下津井港からチャーター便を利用する必要があります。夏季の海水浴シーズンには、下津井港からの船便が一時的に運行され、より多くの訪問者が島を楽しむことができます。

皆さんも、自然豊かで歴史的な背景を持つ六口島へ訪れて、静かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。

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