六句町

六句町の概要

六句町（ろっくちょう）は、愛知県名古屋市西区に存在した地域名であり、現在の新道一丁目および二丁目、幅下一丁目および二丁目の一部に相当します。この地名は、過去の歴史的背景や地理的特性に由来しています。名古屋市営バスの名駅12号系統のバス停名にもその名が使用され、地域の名残を感じさせます。

地理的特性

六句町は、東に堀詰町、西に江川、南に藪下町、北に北駅町と接しています。名古屋の中心部に近いため、地域間の交通の便も良好でした。周辺地域の地名には、歴史あるものが多く、地元住民にとって身近な存在でありました。

学区について

六句町に所在した学区は、尾張学区として知られており、地域の教育環境にも密接に関わっていました。中学校は名古屋市立菊井中学校、小学校は名古屋市立幅下小学校がありましたが、幅下小学校は廃止されています。地域の子どもたちは、このような学校で学びながら育ったことでしょう。

人口の推移

六句町の人口については、国勢調査のデータをもとに推移が記録されていますが、詳細な数字は地域の発展や人口移動とともに変化していきました。周辺の発展に伴い、六句町もその影響を受けていたことが伺えます。

歴史的背景

地名の由来

六句町という地名の由来については、書籍『幅下ものがたり』（2015年刊）に記されています。この本によると、かつてこの地には六歌仙の塚が存在していたことが、その名の起源であるとされています。また、『名古屋城府志』の記録には、地名が「陸供」とも表記されていたとの事実も確認されています。

沿革

六句町は、1536年（天文5年）に発行された「道者売券」という資料に「六句」という地名が記載されており、その頃から存在が確認されています。その後、名古屋城下町の成立に伴い、この地域は城下町の一部として吸収されていくこととなります。

1709年（宝永6年）に作成された尾府名古屋図にも名が見られ、地域の歴史的な重要性が示されています。名古屋区の成立に伴い、1878年（明治11年）にはこの地域が公式に六句町として認識されました。1889年（明治22年）の名古屋市成立により、名古屋市の一部として存続します。さらに1908年（明治41年）に西区が成立し、六句町はその区域に含まれることになりました。

しかし、1981年（昭和56年）には住居表示の実施により、六句町は新道一丁目・二丁目と幅下一丁目・二丁目に編入され、公式にはその名を消滅しました。地域名は消えましたが、名古屋市における地名の歴史と文化を今も色濃く残しています。

字一覧

1932年（昭和7年）には愛知県教育会が発行した『明治十五年愛知県郡町村字名調』において、六句町の字が記載されています。これは、地域の地名の歴史を探る上で貴重な資料となっています。

参考文献

• - 名古屋市総務局企画室統計課 編『昭和31年版 名古屋市統計年鑑』名古屋市、1957年。
• - 名古屋市総務局企画部統計課 編『昭和41年版 名古屋市統計年鑑』名古屋市、1967年。
• - 名古屋市総務局統計課 編『昭和51年版 名古屋市統計年鑑』名古屋市、1977年。
• - 名古屋市総務局統計課 編『昭和55年国勢調査 名古屋の町・丁目別人口（昭和55年10月1日現在）』名古屋市役所、1981年。
• - 有限会社平凡社地方資料センター 編『日本歴史地名大系第23巻 愛知県の地名』平凡社、1981年。
• - 角川日本地名大辞典 編纂委員会 編『角川日本地名大辞典 23 愛知県』角川書店、1989年。
• - 名古屋市計画局 編『なごやの町名』名古屋市計画局、1992年。
• - 新修名古屋市史編集委員会 編『新修名古屋市史』 3巻、名古屋市、1999年3月。
• - 河村幸守 編『幅下ものがたり』河村幸守、2015年3月。

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