六甲山ホテル

六甲山ホテルから六甲山サイレンスリゾートへ：歴史と変貌

1929年、宝塚ホテルの分館として開業した六甲山ホテルは、長い歴史を持つ老舗ホテルでした。宝塚ホテルとほぼ同時期に阪急が宝塚ホテルの施設を引き継いだことから、その歴史的背景も深く、古塚正治氏設計による開業当時の建物は、2007年には国の近代化産業遺産に認定されるほどの価値を持つものでした。

しかし、時を経て、老朽化による耐震性の問題が浮上します。2015年12月20日をもって、登録された旧館を含む一部建造物の営業が終了することが発表されました。

その後、2016年8月には、阪急阪神ホテルズが六甲山ホテル事業を大阪市の輸入車ディーラーである八光自動車工業へ譲渡することで合意。2017年12月31日をもって、六甲山ホテルとしての営業は幕を閉じました。

八光自動車工業による取得後、旧館、新館、チャペルの改修工事が行われました。当初は2018年春～夏に旧館、2019年に新館とチャペルが再開業予定とされていましたが、実際には遅延が発生しました。

2019年7月20日、ホテルは「六甲山サイレンスリゾート」として生まれ変わり、旧館の一部（カフェギャラリー等）と展望レストランが営業を再開しました。改修工事の際に、かつては封鎖されていた正面玄関入ってすぐの階段が再発見され、元のスタイルに復元されるなど、歴史的建造物の保存にも配慮が払われています。

六甲山という立地を生かした眺望、特に夜景は、ホテル時代の大きな魅力の一つでした（新館高層階南側および屋上のみ）。宝塚、神戸、有馬温泉といった阪急グループが力を入れてきた観光地にもアクセスが良く、観光拠点としての利便性も高いホテルでした。

宿泊施設に関しても、ホテル隣接地に円形状の建物「サイレンス・リング」の新設が計画されています。当初は2021年完成予定とされていましたが、その後2023年から2024年、そして現在は「数年後」と、完成時期は未定となっています。

六甲山ホテル時代には、宿泊施設としての機能に加え、結婚式場としても広く利用されていました。フランス料理レストラン「レトワール」、日本料理「瀬戸」、ジンギスカンレストラン「ジンギスカンテラス」、カフェレストラン「サウスロード」（2015年12月20日営業終了）、バーラウンジ「Top of Rokko」、ブライダルサロン、写真室、衣裳室、着付室、フラワーショップ、パーティルーム、会議室、ガーデンチャペルなど、多様な施設が備えられていました。

交通アクセスは、六甲ケーブル線「六甲山上駅」から阪急バス六甲線、または六甲摩耶スカイシャトルバスを利用します。

六甲山ホテルは、その歴史と立地、そして提供してきたサービスを通じて、多くの人々の思い出の中に刻まれています。六甲山サイレンスリゾートは、歴史的建造物を生かしながら、新たな魅力を生み出すことで、その歴史を受け継ぎ、未来へと繋いでいく役割を担っていると言えるでしょう。 六甲オリエンタルホテルという競合ホテルの存在や、阪急・阪神経営統合による事業再編といった背景も、六甲山ホテルの歴史を語る上で重要な要素です。六甲山サイレンスリゾートの今後の展開にも注目が集まります。

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