六者会合

六者会合：北朝鮮核問題と多国間外交の軌跡

2003年から2007年にかけて、北朝鮮の核問題解決を目指し、日本、アメリカ、中国、ロシア、韓国、北朝鮮の6ヶ国が参加する六者会合が開催されました。本稿では、この歴史的な外交努力の経緯を詳細に解説します。

米朝枠組み合意の崩壊と六者会合への道

六者会合開催の背景には、1994年の米朝枠組み合意の崩壊があります。この合意では、北朝鮮は核開発を凍結し、代わりにアメリカは軽水炉建設支援などを約束しました。しかし、2002年、アメリカは北朝鮮の高濃縮ウラン計画の存在を指摘、枠組み合意は事実上破綻しました。北朝鮮は翌2003年、核拡散防止条約（NPT）からの脱退を宣言、国際社会に衝撃を与えました。

アメリカは、イラク戦争への対応や北朝鮮への不信感から、北朝鮮との二国間交渉を拒否。そこで、中国の仲介により、当初は米中朝三者協議が持ち上がり、その後、他の周辺国も巻き込んで六者会合へと発展していきました。北朝鮮は当初、会合への参加を拒否しましたが、中国による原油供給停止を機に対話を容認したと言われています。

六者会合の推移：合意と行き詰まりの繰り返し

2003年8月、北京で開催された第1回六者会合では、北朝鮮は「一括妥結方式」による解決を主張。その後も、合意と行き詰まりを繰り返しながら、計6回に渡り会合が開催されました。

各回会合の概要

第1回（2003年8月）： 北朝鮮は核保有を主張、共同文書は発表されず。
第2回（2004年2月）： 北朝鮮は核廃棄の対象を「核兵器計画」に限定、CVID（完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄）をめぐって対立。
第3回（2004年6月）： 北朝鮮は敵視政策の放棄を条件に核関連計画放棄の意向を示す。北朝鮮の核凍結を非核化への第一段階と位置付けることで意見の一致を見る。
第4回（2005年7月～9月）： 2段階で開催。5ヶ国は共同文書草案に同意するも北朝鮮は核の平和利用にこだわり、9月19日、初めて共同声明を発表、北朝鮮の核兵器放棄に合意。
第5回（2005年11月～2007年2月）： 3段階で開催。北朝鮮はミサイル発射や核実験を行い、協議は難航するも、2007年2月、共同文書を採択。北朝鮮は寧辺核施設の停止と封印、IAEAによる監視を受け入れ、5ヶ国はエネルギー支援を行うことで合意。
第6回（2007年3月）： 北朝鮮関連口座の資金移転問題で行き詰まり、実質的協議は行われず休会。

六者会合中断後

六者会合は第6回以降、中断されました。その後も、北朝鮮は核・ミサイル開発を継続、国際社会からの制裁が強化される一方、関係各国は六者会合再開に向けた努力を続けましたが、大きな進展は見られませんでした。

結論

六者会合は、北朝鮮核問題解決に向けた重要な外交努力でしたが、最終的には合意に至らず、中断しました。この経験は、今後の北朝鮮核問題への対応を考える上で、重要な教訓となっています。多国間外交の難しさ、関係各国の思惑の複雑さ、そして信頼醸成の重要性を改めて認識させられます。今後の北朝鮮情勢において、この六者会合の経緯を踏まえることは不可欠でしょう。

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