六興出版

株式会社六興出版について

株式会社六興出版（ろっこうしゅっぱん）は、戦後の日本における中堅出版社として知られ、1940年に設立されました。初めは「六興出版部」としてスタートし、商事会社の六興商事の一部門として発足しました。設立にあたったのは大門一男氏で、彼のビジョンのもと、出版の道を歩み始めました。

創立から戦後の展開

戦後の1949年に「六興出版社」と名を改め、社名変更後は著作権でも名を馳せました。特に著名な作家・吉川英治の作品を多数手がけ、その著作権を巡って講談社と争ったこともありました。企業は文芸書や学術書を幅広く出版し、多くの読者に支持されていました。

雑誌創刊とその後

1949年、六興出版社は「小説公園」という中間小説雑誌を創刊しました。この雑誌も吉川英治の支援を受けており、ヒットを期待されていましたが、残念ながら長続きせず、1958年に廃刊となる運命を辿ります。さらに同年には、風雪社の文芸誌「風雪」の経営を引き継ぐも、こちらも成功には至らず、1950年には休刊を余儀なくされました。非常に有名な作品であった林芙美子の「浮雲」は、文藝春秋新社の「文學界」に移されることとなります。

経営者の交替

1952年には石井英之助が社長に就任し、1962年には彼の死後、吉川晋がその後を引き継ぐ形となります。吉川の死後には、彼の妻が会社の運営を担当し、彼にまつわる著作は引き続き重版されていきました。

後期の取り組み

六興出版は後期に入ると、特に「石田幹之助著作集」など、東洋史や東洋学に関連する多くの書籍を発行するようになりました。この時期には、学術的な知見や考察を深めた書籍が多く見受けられました。

バブル期の経済的短期

しかし、1980年代のバブル期には、不動産投機に手を出し、自社ビル内にスタジオを設置するなどの試みを行いましたが、これが裏目に出てしまいます。その結果、経営に深刻な影響を及ぼし、最終的には倒産に追い込まれることとなりました。

破産とその後

1992年6月29日には東京地方裁判所に破産を申請し、同日に破産宣告を受けました。負債額は41億2012万円に達し、六興出版という名のもとは182件の債権者に支払う負債を持つこととなりました。

最終的な所在地は東京都文京区水道2-9-2であり、現在その跡地にはキングレコードが入居しており、江戸川橋スタジオとして使われています。このように、六興出版は日本の出版界で重要な役割を果たしながら、歴史の中で消えゆく運命を辿ることとなったのです。

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