共和暦12年憲法

共和暦12年憲法について

共和暦12年花月28日（1804年5月18日）に採択された共和暦12年憲法は、第一帝政を確立するための基盤を成す文書であり、ナポレオン・ボナパルトが出した革新的な憲法の一つです。この憲法は142条から構成され、古い制度と新しい体制が融合した内容となっています。特に、ナポレオンはこの憲法を通じて彼の正当性を人民の委託に根ざした形で主張しつつ、王権神授説にも依拠し、教皇の手によって聖別されることにより、彼自身の地位を強化しました。

皇帝としてのナポレオン

この憲法により、国家の統治は一人の皇帝に委ねられることが定められ、ナポレオンは「フランス人の皇帝」としての称号を持つことになりました。彼は革命の理念を尊重し、国王の称号ではなく、皇帝という名称を選びました。これは、古代ローマの皇帝たちに倣ったものであり、無限性という概念を持つ皇帝の称号はナポレオンにとって魅力的でした。しかし、憲法は具体的に皇帝の権限の詳細を示すことはなく、アサーティブな指名がなされました。

帝位の継承

ナポレオンの憲法における帝位の継承は、皇帝の直系の子孫に限定され、アンシャン・レジーム以来の長子相続制が適用されるため、女性や女系には権利が認められません。帝位を継承する者が存在しない場合、ナポレオンは兄弟の子孫を養子に迎え入れることができ、この点は彼の権限を大きくした革新的な要素といえます。ただし、養子縁組をしても、養子以降に誕生した嫡出子に継承順位を譲る必要があります。

高位高官の設置

憲法は、帝国内における高位高官の地位を確立しました。「帝国六大貴顕官位」と呼ばれる高官職が設けられ、大選挙侯、帝国大書記長らがその主な構成員です。また、帝国の重臣としての機能を果たす16人の元帥やその他の高官も規定されています。これらの高官たちは、特に選挙人会の運営において重要な役割を果たし、全ての高位高官は社会全体への敬意を示す宣誓を行わなければなりません。

新たな制度の導入

元老院においては、二つの委員会が設置されました。一つは人身の自由について監査する委員会で、もう一つは出版の自由を扱い、検閲に関する問題を取り組みます。しかし、これらの委員会は拘束力を持たない勧告しかできないため、実際の権限は限定されています。また、元老院における護民院の機能は、政府提出法案の審議ができなくなるなど制約を受けました。最終的に、1807年8月19日の元老院決議によって護民院は廃止され、立法院に統合されることが決まりました。

このように、共和暦12年憲法はナポレオンの治世を支える重要な枠組みを提供し、古き良き制度と新たな秩序の調和を図った文書であると言えるでしょう。

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