共立基督教研究所

共立基督教研究所（きょうりつキリストきょうけんきゅうじょ）

共立基督教研究所は、千葉県印西市内野に位置する、東京基督教大学に付設された神学の研究機関です。この研究所は、聖書を誤りなき神のことばと信じる福音主義の信仰に堅く立ち、キリスト教神学の探求と発展を目的として活動しています。日本における福音主義神学研究において、重要な拠点の一つとしての役割を担っています。

設立の背景と沿革

共立基督教研究所は、1980年に誕生しました。その設立は、日本の福音派神学教育機関の歴史における重要な出来事と深く関わっています。具体的には、東京基督教短期大学、日本基督神学校、そして共立女子聖書学院という、それぞれ異なった歴史と特色を持つ三つの教育機関が統合されたことを契機としています。これらの学校が一つになる過程で、それぞれの教育機関が長年にわたり培ってきた貴重な人材、研究資産、そして伝統を継承し、さらに専門的な神学研究を推進するための機関として、本研究所が設立されました。

この統合は、当時の日本の福音派神学教育の課題に応え、より包括的で質の高い教育・研究体制を築くための試みであり、共立基督教研究所はその研究部門として、この新しい教育・研究統合体の中核を担うこととなりました。設立当初から、単なる資料収集や整理にとどまらず、積極的に研究活動を展開し、その成果を内外に発信することを目標として掲げています。

研究活動とその特徴

研究所の研究活動は、福音主義神学を基盤としつつも、その領域は多岐にわたります。聖書学、組織神学、歴史神学、実践神学、宣教学など、神学の主要な分野に加え、現代社会が抱える課題や他分野との関連性についても積極的に探求しています。研究は、聖書に基づいた厳密な学術的手法を用いながらも、日本の教会や社会の現状に即した実践的な意義を持つことを重視しています。

国内外の研究者との連携も、本研究所の重要な特徴の一つです。特に、英国の著名な神学者であるアリスター・マクグラスとの協力のもと、共同研究や学術交流を行っています。このような国際的な繋がりを持つことで、世界の神学研究の最新動向を取り入れ、日本の神学研究をより広い視野から捉えることを可能にしています。

主な出版物：共立モノグラフ

共立基督教研究所は、その研究成果や学術的な取り組みを「共立モノグラフ」というシリーズとして定期的に刊行しています。これは、研究所の研究活動の重要なアウトプットであり、日本の神学研究コミュニティや教会に対して、最新の研究知見を提供する役割を果たしています。主な刊行物としては、以下のようなものがあります。

『宣教学文献リスト』（1984年刊行、共立モノグラフ no.1）- 宣教学研究のための基礎資料として、関連文献を網羅的に集約したものです。
『ポスト・ローザンヌ』（宇田進、尾形守他、1987年刊行、共立モノグラフ no.2）- ローザンヌ世界宣教会議以降の宣教課題や展望について論じた論文集です。
『神の啓示と日本人の宗教意識』（宇田進、稲垣久和、堀越暢治他、1989年刊行、共立モノグラフ no.3）- キリスト教の神の啓示と、日本の固有な宗教意識との対話や関係性について多角的に考察したものです。
『宣教ハンドブック』（共立基督教研究所 編、1991年刊行、共立モノグラフ no.4）- 宣教の実践に役立つ手引きとして編纂されたものです。
* 『聖書と精神医学』（共立基督教研究所 編、1993年刊行、共立モノグラフ no.5）- 神学的な視点と精神医学的な視点から人間の内面や心理的な問題にアプローチした、学際的な研究成果です。

これらのモノグラフは、宣教学、現代神学、異文化理解、実践神学、そして神学と他の学問分野との連携といった、研究所が取り組む研究テーマの幅広さを示しています。これらの出版物を通じて、研究所は福音主義神学の発展に貢献し、教会や社会への情報発信を行っています。

研究所の役割と意義

東京基督教大学附属の研究機関として、共立基督教研究所は大学の教育・研究活動と密接に連携しています。大学の神学教育における研究基盤を提供するとともに、学生や教員の研究活動を支援する役割も担っています。また、学術集会やセミナーの開催などを通じて、外部の研究者や教会関係者との交流を深め、日本の福音派における神学研究全体のレベル向上に貢献しています。

その研究成果は、神学生の育成に活かされるだけでなく、日本の教会における牧会や宣教の実践にも示唆を与え、さらにはキリスト教への理解を深めたいと願う一般の方々にも裨益するものとなっています。福音主義に立つ神学研究の推進を通じて、研究所は日本のキリスト教界、ひいては社会に貢献することを目指しています。

共立基督教研究所に関するより詳細な情報は、公式サイトで確認することができます。

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