兵庫県道342号甲子園六湛寺線

兵庫県道342号甲子園六湛寺線は、「ひょうごけんどう342ごう こうしえんろくたんじせん」と読み、兵庫県西宮市内を南北に縦断する一般県道の一つです。この路線は、西宮市甲子園九番町に位置する甲子園九番町交差点を起点とし、西宮市六湛寺町にある東川交差点を終点としています。起点の甲子園九番町交差点では、兵庫県道340号浜甲子園甲子園口停車場線や兵庫県道341号甲子園尼崎線（この県道の起点でもあります）と接続し、終点の東川交差点では、東西に走る主要幹線道路である国道2号と交わります。その総延長は約2.895キロメートルと比較的に短い県道です。

本路線は、その全区間が西宮市域内に収まっており、地域の生活や交通を支える役割を担っています。起点の甲子園九番町から西長五郎橋交差点までの区間は、地域で臨港線の一部としても認識されています。西長五郎橋交差点を過ぎると、経路は六湛寺川や東川といった河川に沿うように、およそ北西方向へ進んでいきます。川沿いの道は、都市の中にありながらも水辺の景観を感じさせる場所です。

しかしながら、兵庫県道342号線には、他の多くの県道とは異なる非常に特徴的な構造があります。それは、路線が途中で分断されており、自動車などで起点から終点まで、あるいは終点から起点までを連続してスムーズに通行することが困難であるという点です。具体的には、西日本を連絡する大動脈である国道43号によって、この県道の経路が物理的に途切れています。さらに、国道43号との交差箇所を含む旧国道との接続点から、用海交差点の北側に位置する終点にかけての一部区間では、複雑な一方通行規制が実施されています。例えば、旧国道との交差部から用海筋にかけての区間は南方向への一方通行として、それに続く用海筋の一部区間は北方向への一方通行としてそれぞれ指定されています。これらの分断や一方通行区間が存在するため、自動車による起点と終点の間の往来は、原則として片方向においても連続して行うことができません。ただし、終点方向へ向かう場合に限っては、国道43号による分断箇所で県道を一時的に離れ、国道43号上の用海交差点を経由して県道の終点付近に再び合流するという迂回ルートを取ることで、起点から終点まで（厳密な意味での全線ではありませんが）到達することが可能となっています。この経路の特性は、本県道を利用する上で特に注意すべき点です。

経路中には、地域にとって重要な機能を持つ橋梁がいくつか存在します。例えば、新川を渡る中津橋、津門川と東河をまとめて跨ぐ西長五郎橋、そして六湛寺川に架かる角之橋などがあり、これらは円滑な交通を支えています。

また、沿線には西宮市の生活や行政に関わる主要な施設が見られます。地域の治安維持を担う甲子園警察署の中津交番、未来を担う子供たちが学ぶ西宮市立用海小学校、そして西宮市の行政の中枢である西宮市役所などが挙げられます。終点近くには、阪神電鉄の主要駅の一つである阪神本線西宮駅があり、鉄道との乗り換えにも便利な立地です。経路の途中では、既に述べた国道2号や国道43号のほか、兵庫県道340号線、兵庫県道341号線といった他の県道とも交差しています。加えて、阪神本線の線路も、立体交差の形式でこの県道と交わっています。

兵庫県道342号甲子園六湛寺線は、総延長は短いものの、甲子園地区から西宮市の中心部へ至るルートの一部を構成する県道です。しかし、その経路が国道による分断や一方通行区間を含むという特異な構造を持つことから、単に通過するだけの道ではなく、地域の特徴を色濃く反映した複雑な性格を持った路線と言えるでしょう。兵庫県内に存在する数ある県道の中でも、そのユニークな経路は特筆に値します。

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