兵庫電気軌道

兵庫電気軌道の歴史

兵庫電気軌道（Hyōgo Electric Tram Co.）は、かつて兵庫県神戸市と明石市で路面電車を運営していた企業です。設立は1907年、目的は神戸と明石を結ぶ路線の建設でした。

設立の背景と初期の運営

明治30年代末、兵庫県内での電気軌道開設が活発になり、兵庫電気軌道が設立されました。設立当初は兵庫電気鉄道と明神電気鉄道の二つの事業者が免許申請を行い、競争に直面しましたが、両者は合併して新会社を設立しました。1910年3月15日には第一期線として兵庫 - 須磨間が運行開始。“地元の市電”との競合を回避するため、神戸側の起点を兵庫に設定しました。

経営難と再編成

しかし、運行開始後の兵庫電気軌道は営業成績が伸び悩みました。神戸電気鉄道へ経営移管や直通運転の計画もありましたが、実現には至らず、経営陣の更迭を経て第2期線の須磨 - 明石間の建設へと舵を切りました。用地買収の遅れや複雑な地域問題を乗り越え、最終的に1917年4月12日に全区間が開通しました。この開業により、収入と乗客数が大幅に増加し、経営は軌道に乗ることができました。

姫路への延伸計画と買収劇

続けて、兵庫電気軌道は明石から姫路までの延伸を目指しました。この新線は別会社の明姫電気鉄道として計画されますが、播州鉄道も同じ路線の免許を申請しており競争が激化しました。最終的に、播州鉄道の社長伊藤英一が兵庫電気軌道を敵対的に買収しましたが、免許取得は旧経営陣が支配する明姫電鉄に与えられ、さらに神明急行電鉄との合併が進む中で、競合が続きました。

統合とその後の展望

1920年、兵庫電気軌道は電気事業への進出も図りましたが、第一次世界大戦後の不況で経営は厳しく、さらに社長の伊藤が辞任しました。1927年1月1日には宇治川電気に統合され、兵庫電気軌道は消滅しました。その後、1928年には姫路との直通運転が実施され、路線の連携が進みました。1933年には、鉄道事業が新設の山陽電気鉄道へ譲渡され、長年の歴史を持つ路線が更新されることとなりました。

現在の影響と路線データ

現在では、神戸から明石間の移動は、山陽電気鉄道を通じた高速鉄道として利用されています。元々の兵庫電気軌道の路線は、1945年の戦後にも影響を与え、現在までその形が少しずつ変わりつつも、重要な交通網として根付いています。

路線データ

• - 路線距離: 兵庫 - 明石間11.42哩
• - 軌間: 1435mm
• - 電化区間: 全線（直流600V）

新しい鉄道の時代の中で、兵庫電気軌道は地域の人々にとって欠かせない交通機関として存在し続け、その後の発展につながっていきました。

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