兵科記号 (北大西洋条約機構)

NATO式兵科記号の解説

北大西洋条約機構（NATO）は、共同作戦を円滑に行うために兵科記号の標準化を進めています。この兵科記号は、既に広く使用されていたアメリカ陸軍の規格をベースにしており、最初に制定されたのは1984年11月のAPP-6であり、標準文書名はSTANAG-2019です。その後、規格は改訂され、APP-6Aが2000年12月、APP-6Bが2008年6月、APP-6Cが2011年5月に発表され、最新のAPP-6Dは2017年10月に制定されました。

表記法と敵味方表記

APP-6A以降、陸上ユニットの敵味方表記は少なからず基本形が決まりました。この表記法において、陸上部隊の兵種表示は、おおむね横長の四角形に構成されています。軍のユニットを識別するために、色分けが認められ、敵部隊は四角の外枠を二重線で表現されることが規定されています。これにより、視覚的に明確に区別ができます。

主な基本陸上ユニット

APP-6A以降の主な陸上ユニットには、機械化歩兵、戦車、砲兵などが含まれています。これらのユニットは特定のアイコンを用いて視覚表現され、地図上でも識別しやすくなっています。さらに、ユニットアイコンには修飾子も存在し、特定の装備や能力を示すことができます。

戦闘領域

兵科記号は、形状によって主な戦闘領域も表現します。これにより、地上、空中、海上、海中の戦闘シーンでも一目で状況を把握できるよう工夫されています。例えば、陸上部隊のアイコンの上部には部隊規模を示す記号があり、この情報を視覚的に伝えます。

具体例

記号の右側には親部隊の名称や番号が、左側には自部隊の名称や番号が表示される形式をとっています。これにより、部隊の編成状況がひと目でわかります。例えば、「第42大隊A中隊（機械化歩兵）」は明確な形で示されます。また、アメリカ海兵隊の編成も同様に記号として表記され、部隊の識別がしやすくなっています。

歴史的背景

APP-6

NATO標準としての最初の規格であるAPP-6は、陸上部隊の兵種表示に関する基本的な方法を示しました。特に、敵味方の識別方法に関するルールが整備され、カラー表示が活用されています。

APP-6A

APP-6Aでは、相互運用性の向上に重点が置かれ、C4Iシステムにも対応した内容が盛り込まれました。これにより、より詳細で階層的な情報提供が可能になりました。

APP-6B・APP-6C

APP-6Bでは宇宙に関する記載法が新たに追加され、APP-6Cでは部隊や設備状況の記載法の拡張が行われました。これらは、兵科記号の運用の幅を広げるための重要な進化です。

APP-6D

最新のAPP-6Dは、サイバー関連表記法の追加がされており、現代の戦場における多様な情報を統一的に表現するための重要な一歩となっています。


これらの発展を通じて、NATOの兵科記号は、共同作戦の標準化を促進し、部隊の効率的な運用を支える重要な役割を果たしています。今後もさらなる改善が期待されています。

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