兵長

兵長について

兵長（へいちょう）は、軍隊における階級の一つであり、特に日本の陸軍や海軍において重要な位置を占めています。この階級は、伍長の下、上等兵の上に位置しており、軍事組織の中での役割を示しています。また、自衛隊にはこの階級がありません。

日本陸軍における兵長

日本陸軍の兵長は1940年9月に新設されました。それ以前は、戦地における兵士として一等兵と上等兵のみが一般的でした。しかし、日中戦争の長期化により、現役兵士の数が増加し、古参の上等兵や一等兵が多く見られるようになりました。この状況は人事運用上の問題を引き起こし、上等兵の上位に兵長を追加する必要性が生まれたのです。

この新しい階級の導入により、伍長勤務上等兵の制度は廃止されました。また、除隊時に下士官適任証を持っている上等兵は自動的に兵長に昇進しました。しかし、下士官の不足は続き、その後は伍長勤務に相当する下士官勤務兵長が設置されることになりました。

日本海軍における兵長

大日本帝国海軍においても、兵長は重要な位置づけを持っています。1876年には海兵を解隊し、水夫が水兵に改称され、この際に水兵長という階級が設けられました。1882年には水兵長が准士官に昇進し、下士の階級構成が再編成された結果、最終的には兵曹の階級が導入されました。

1942年には、職階名称の改正が行われ、一等水兵などが兵長などに改称されました。水兵長は、術科学校の課程を終えた後、選抜試験に合格することで昇進し、下士官である二等兵曹となる道を歩むことになります。

各国の呼称

兵長に相当する階級は他国にも存在し、それぞれ異なる名称が付けられています。アメリカ合衆国の空軍では“Senior Airmen”、イギリス海軍では“Leading Rate”と呼ばれています。フランスでは陸軍や空軍は“Caporal chef”、海軍は“Quartier maître (de 1ère classe)”と表現されます。スペインの陸軍や海軍では“Cabo primero”、イタリアでは陸軍の“Caporale maggiore”、海軍の“Sottocapo”などがあります。ポルトガルの陸軍、空軍では“Cabo-Adjunto”、シンガポール陸軍での呼称は“Corporal”、韓国では漢字で兵長（병장）と表記されています。

このように、兵長という階級は日本だけでなく、世界中の軍隊でも重要な役割を果たしており、同様の階級が存在していることからも、その重要性が伺えます。

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