内沼映二

内沼映二：日本の音楽シーンを支えたレコーディングエンジニアの軌跡

内沼映二氏(1944年生まれ)は、日本の音楽制作において卓越した功績を残したレコーディング＆ミキシングエンジニアです。群馬県出身の彼は、テイチク、ビクター、RVCといった大手レコード会社を経て、1979年にレコーディングエンジニア集団「ミキサーズラボ」を設立。その後、会長として、日本の音楽シーンを長年に渡り支え続けました。

輝かしい経歴とミキサーズラボの設立

彼のキャリアは1965年、テイチク興業(現テイチクエンタテインメント)への入社から始まります。その後、日本ビクター、RVC録音部に所属し、レコーディングエンジニアとしての経験を積み重ねました。こうした経験が土台となり、1979年8月15日、内沼氏は自身の会社「ミキサーズラボ」を設立。この会社は、日本の音楽制作において大きな役割を果たすことになるのです。

ミキサーズラボ設立後、彼は1990年には自社運営スタジオ「WEST SIDE STUDIO」を設立。さらに、1994年にはCDマスタリングセクション「DISC LAB」をON AIR麻布スタジオ（現Azabu-O Studio）内に設立するなど、音楽制作環境の整備にも積極的に取り組んできました。1997年にはワーナーミュージック・レコーディング・スタジオと、1998年にはワーナーミュージック・マスタリングとの運営提携を結び、その活動はさらに拡大していきました。

日本音楽スタジオ協会会長としての貢献

内沼氏の功績は、レコーディングエンジニアとしての活動だけにとどまりません。1994年から1998年にかけては、日本音楽スタジオ協会の会長を務め、日本の音楽スタジオ業界の発展にも貢献しました。この経験を通じて、彼は業界全体の向上に尽力し、日本の音楽シーンを支える基盤強化に大きく貢献したと言えるでしょう。

数々の受賞歴：卓越した技術と芸術性の証

内沼氏の技術と芸術性は、数々の受賞歴からも明らかです。日本プロ音楽録音賞において、彼は実に数々の賞を受賞。その受賞歴は、彼の卓越した技術と音楽に対する深い理解を示すものです。

1994年：第1回 日本プロ音楽録音賞（大友直人指揮東京交響楽団『新日本紀行 冨田勲の音楽』より「新・平家物語」）
2001年：第8回 日本プロ音楽録音賞 ポップス・ロック部門奨励賞（『ベイビーフィリックステーマソング集』）
2003年：第10回 日本プロ音楽録音賞 ニューパッケージメディア部門最優秀賞（スターダストレビュー『LOVE SONGS』より「追憶」）
2005年、2006年、2010年、2015年、2016年：日本プロ音楽録音賞にて複数回最優秀賞を受賞

これらの受賞作品は、クラシックからポップス、ジャズまで幅広いジャンルにわたっており、内沼氏の多様な音楽性と高い技術力を示しています。

多彩な作品群：幅広いジャンルの音楽制作への貢献

内沼氏が携わった作品は、そのジャンルもアーティストも多岐に渡ります。CDパッケージでは、内山田洋とクール・ファイブ、和田アキ子、角松敏生、冨田勲、前川清、石川さゆり、SPEED、V6、杏里、福山雅治など、数多くの著名なアーティストの作品を手がけました。

サウンドトラックにおいても、『踊る大捜査線 MOVIE 1・MOVIE 2』、『Returner』、『ジャングル大帝』、『ドラえもん』など、数々の映画やアニメ作品に携わり、日本のエンターテイメント業界に大きな貢献をしました。

メディア出演と著作：音楽への情熱と知識の共有

さらに、内沼氏は『タモリ倶楽部』などメディアにも出演し、自身の経験や知識を広く一般に共有する活動も行っています。2019年には、『内沼映二が語るレコーディング・エンジニア史　スタジオと録音技術の進化50年史』を出版。これは、日本のレコーディングの歴史を紐解く貴重な資料となっています。

内沼映二氏の功績は、日本の音楽制作の歴史に大きな足跡を残したと言えるでしょう。彼の技術、そして日本の音楽シーンへの貢献は、今後も高く評価され続けるに違いありません。

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