内海愛子

内海愛子（うつみあいこ）

内海愛子は1941年10月20日に東京で生まれ、歴史社会学者として日本において多大な貢献をしている。恵泉女学園大学の名誉教授であり、マイノリティ研究や日本とアジアの関係に関する研究が主な専門分野だ。その本名はアイコで、夫は経済学者の村井吉敬である。

学歴と経歴

内海は1964年に早稲田大学教育学部英語英文学科を卒業し、翌年には同大学の第一文学部哲学科社会学専修に編入し1977年に卒業。その後、1974年に早稲田大学院文学研究科社会学専攻の博士課程で全単位を取得後に退学することとなった。
1975年から1977年には、日本語教員としてインドネシア国立パジャジャラン大学で講師を務めたが、その後、日本に戻り立教大学や東京都立大学での非常勤講師の職を経て、1988年に恵泉女学園大学で助教授に就任する。1992年には教授に昇進し、2007年には名誉教授となった。さらに、2012年からは大阪経済法科大学のアジア太平洋研究センター所長を務める特任教授としても活動している。

社会活動と評価

内海は学問の枠を超えた社会活動にも力を入れており、1970年代から1980年代にかけては日本朝鮮研究所で所員としての経験を積んだ。また、1991年には「韓国・朝鮮人BC級『戦犯』」に対する支援活動により、多田謡子反権力人権賞を受賞した。
2000年には女性国際戦犯法廷で東京裁判の問題点について指摘し、植民地支配の視点が欠落していることを訴えた。2002年には連合国軍捕虜についての研究を行うPOW研究会を設立し、2005年には強制動員真相究明ネットワークの共同代表として活動を続けている。
さらに2006年には日本平和学会の会長に就任し、その後も様々な声明に関与し、日本の対韓輸出優遇撤廃に反対する立場を表明している。2022年には金大中元韓国大統領を称える第15回「後広学術賞」を受賞するなど、その活動は多岐にわたる。

著書

内海は多くの著作を残しており、特に朝鮮人に関する研究が顕著である。単著では1982年の『朝鮮人BC級戦犯の記録』や2008年の『キムはなぜ裁かれたのか―朝鮮人BC級戦犯の軌跡』などがある。
また、共著や共編著としては、1972年の『身世打鈴-在日朝鮮女性の半生』や1991年の『語られなかったアジアの戦後―日本の敗戦・アジアの独立・賠償』など、多様なテーマについて執筆している。
これらの著作は、特にアジアと日本の歴史的な関係を理解するための重要な基盤を提供しており、多くの読者に影響を与え続けている。

まとめ

内海愛子は、日本の歴史社会学における重要な人物であり、マイノリティ研究を通じて新たな視座を提供している。その業績は、学術の領域を超えた社会的意義を持ち、今後の研究や活動においても大いに期待される。彼女の功績は、学問や社会における多様性の尊重を促進するための貴重なものである。

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