内田正練

内田 正練（うちだ まさよし）

内田正練（1898年1月7日 - 1945年2月14日）は、日本の水泳選手であり、オリンピックに出場した最初の日本の水泳選手の一人です。彼は水泳競技における技術革新の必要性を主張し、特にクロール泳法の普及に尽力しました。

経歴

幼少期と学業（1898-1917）

内田は静岡県浜松市にて生まれました。彼の家族は名家であり、父は産業家、母は産婦人科医と恵まれた環境で育ちました。彼は5人兄弟の二男として、兄と共に水泳に親しみ、古式泳法を習得しました。旧制浜松中学校に進学した内田は、水泳部で磨きをかけ、その実力を次第に認められるようになりました。特に1914年の水泳大会にて優勝を収め、その名声は浜松中学の仲間たちにも知れ渡りました。

1916年には東北帝国大学予科に入学し、多数の水泳大会で素晴らしい成績を残しました。特に、全国水泳大会では自由形4種目を制覇し、その実力を遺憾なく発揮しました。さらに、兄と共に水練指導を行い、次世代の育成にも尽力しました。

日本代表への道と栄光（1917-1920）

内田は1917年に開催された第3回極東選手権競技大会で日本代表として活躍し、特に880ヤード自由形で優勝を果たしました。1919年にはフィリピンでの競技大会にも参加し、440ヤードと1マイル自由形で優勝しました。彼の強さは多くの日本人選手に影響を与え、オリンピック選手選考にもつながりました。

1920年のアントワープオリンピックで、内田は日本水泳史上初のオリンピック選手として選ばれました。アメリカでの事前トレーニング中、彼の泳法は評価されましたが、オリンピック本番では近代泳法の前に敗北を喫しました。400m自由形予選では序盤は先頭選手と互角に競い、残念ながら最後に失速してしまいました。

引退後の活動と晩年（1920-1945）

オリンピックの結果から、内田は水泳技術の改革を訴え、帰国後には関西でクロールの普及に努めました。1921年に結婚し、北海道帝国大学に水泳部を創設し多くの選手を育てました。その後、サッカーや柔道を含む運動指導者として活動し、指導者としての道を歩み続けました。

1932年にはアルゼンチンに移住し、農業に従事しましたが、戦局が厳しくなったことで1941年に帰国。帰国後、内田はビルマ独立運動を支援する活動を行い、1944年にはニューギニア司政官に任命されます。しかし、戦争の影響で栄養失調により、1945年に47歳で亡くなりました。彼の死後、名誉を称えられ従五位に叙されました。

内田の影響と人柄

内田正練はそのスポーツ的才能だけでなく、指導者としての影響力も持ち合わせていました。水泳だけでなく、様々なスポーツにも精通し、その姿勢は後輩たちにも影響を与えました。特に浜松中学の後輩である田畑政治との友情は、彼のスポーツ人生において大きな位置を占めていました。田畑は内田に憧れを抱き、彼の成果を見て自らも水泳指導に没頭していきました。内田の人生を通じて、彼が水泳界に与えた影響と、その人間性は今もなお語り継がれています。

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