従五位

従五位（じゅごい）について

従五位は日本の位階制度における一つの級で、正五位の下、正六位の上に位置しています。この位は特に貴族や中級貴族に関連しており、近代以前の日本では、従五位下以上の位階を持つ者が貴族に認定されていました。また、華族の嫡男には自動的にこの位が与えられ、従五位は華族の嫡男の別称ともなっています。

歴史的背景

江戸時代以前

従五位は律令制のもとで、京官、つまり八省の四等官の一人、判官に相当する位でした。地方官の例では、国司や鎮守府将軍に相当します。律令制の下で、従五位下以上の者は「通貴」と称され、従三位以上の者は「貴」と見なされました。このように、従五位以下を「栄爵」とも呼び、その位階の持つ影響力が示されています。

中国の歴史との関係において、秦の始皇帝が松の木に与えた大夫の位があり、これが日本の従五位を「松の位」や「松爵」と称することになった背景です。平安時代においては、五位以上に叙せられることが中級貴族の資格とされ、多くの家系がこの位に位置しました。主な家系としては、藤原氏の傍流、橘氏、高階氏、清原氏、広澄流清原氏、大江氏、清和源氏などが挙げられ、彼らは国司の職にあることが多かったです。

鎌倉時代から江戸時代

鎌倉時代には、この位を持った人物が京都の中級下級貴族として存在していました。室町時代に入ると、足利将軍家や有力な守護代などもこの位に叙せられました。その後、江戸時代においても大名や有力な旗本の多くが従五位下に叙せられました。特に加賀藩の本多氏は位階のみの称号で「従五位様」、「従五位殿」と称されました。

明治時代以降

明治時代に突入し、華族制度の整備が進む中で、華族の嫡男は従五位に自然に叙せられるようになりました。これにより、従五位は華族の重要な象徴となりました。また、功績のある人々にも贈位の形で与えられることが増え、特に明治から大正期の志士や芸術家がその対象となっています。

戦後は、叙位が死後に限定され、様々な領域で功績を挙げた人々に対して行われています。特に政治家や文化人、スポーツ選手など、多岐にわたる分野で従五位が贈られていることが知られています。特に政治家の中には、参議院議員や市長など、地方と国政両方で活躍した方が多く見受けられます。

近年の動向と贈位者例

最近の例としては、1950年代以降の著名政治家や芸能人、文化人、スポーツ選手が従五位を受け取っています。政治家には、参議院議員や市町村の議長職を経験した者が多いです。また、芸能界でも著名な落語家や俳優、陶芸家などがこの位に叙せられています。このように、従五位は時代とともにその意味合いや影響を変えながらも、現在でも重要な位階の一つとして位置付けられています。

結論

従五位は、日本の位階制度において特別な意義を持つ地位であり、歴史的にも貴族や公職者にとって大きな意味を持ってきました。今後もこの位階の役割や影響は変わり続けるでしょうが、従五位は日本社会における重要なシンボルとして、恒久的に留まり続けることになるでしょう。

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