内藤吐天

内藤吐天（ないとう とてん）は、1900年2月5日に岐阜県大垣市で生まれた俳人、薬学者です。本名は多喜夫。龍膽寺旻（りんどうじ びん）、萱雨亭（けんうてい）という別名・別号も持っていました。

東京帝国大学薬学科を卒業後、名古屋市立大学薬学部長、名城大学薬学部教授などを歴任し、薬学研究者・教育者として活動しました。俳句においては、岡山六高時代から志田素琴、大須賀乙字に師事し、「獺祭」「草上」「東炎」といった俳句結社に関わりました。1946年には俳句雑誌「早蕨」を創刊し、主宰として多くの俳人を育てました。

内藤吐天の句風は、初期には「野薊にぴしりぴしりと夕立来ぬ」「あたたかな案山子を抱いて捨てにゆく」などに代表される格調の高いものでしたが、晩年はより自由な作風へと変化しました。句集としては、『落葉松』『雨滴声』『早蕨』『鳴海抄』『点心』『臘八』などが刊行されています。

また、内藤吐天は詩を日夏耿之介に師事し、海外の小説や詩集の翻訳も手がけるなど、幅広い分野で文才を発揮しました。

1976年5月12日、76歳で永眠。墓所は雑司ヶ谷霊園にあります。

内藤吐天は、俳人、薬学者、翻訳家として多岐にわたる才能を発揮し、日本の文化に貢献した人物として記憶されています。

参考文献
『現代俳句大事典』 三省堂、2005年
デジタル版 日本人名大辞典+Plus

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