内藤政憲

内藤政憲は、弘化5年（1848年）に公家・大炊御門家孝の子として生まれました。初めは谷衛滋の養子となっていましたが、戊辰戦争の影響で湯長谷藩主の座を継ぐことになります。

慶応4年（1868年）、戊辰戦争において湯長谷藩は新政府軍と敵対したため、当時の藩主であった内藤政養は強制的に隠居させられました。その後、政憲は内藤政養の養嗣子として迎えられ、明治2年（1869年）2月3日に湯長谷藩の第14代、そして最後の藩主となりました。

藩主就任後、政憲は明治政府の方針に従い、同年6月23日には版籍奉還を行い、知藩事となります。しかし、明治4年（1871年）7月14日の廃藩置県により、知藩事を免官され、湯長谷藩は廃止されることとなりました。これにより、内藤政憲は藩主としての役割を終えることになります。

明治14年（1881年）12月、政憲は隠居し、家督を長男の政潔に譲りました。その後、大正8年（1919年）に72歳で生涯を閉じました。

内藤政憲の系譜は以下の通りです。

実父: 大炊御門家孝
養父: 谷衛滋、内藤政養
正室: 美子（丹羽長富の娘）
継室: 銈子（酒井忠哲の娘）
* 子女: 内藤政潔（長男）

内藤政憲は、激動の幕末から明治維新にかけて、湯長谷藩の藩主として時代の波に翻弄されながらも、その役割を果たしました。公家出身でありながら藩主となった彼の生涯は、日本の歴史における変革期の一つの側面を映し出しています。彼の藩主としての期間は短かったものの、湯長谷藩の終焉を見届けた人物として、その名は歴史に刻まれています。

戊辰戦争という動乱、版籍奉還、廃藩置県といった変革を経験し、時代の流れに乗りながらも、旧体制から新体制への移行期を生き抜いた内藤政憲の生涯は、日本の近代化の過程における地方の変容を象徴する出来事と言えるでしょう。

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