円勢

円勢（えんせい、生年不詳 - 長承3年閏12月21日（1135年2月5日））は、平安時代に活躍した仏師であり、円派の祖として知られています。円派とは、円勢の後継者たちが名に「円」の字を多く用いたことから、後世に呼ばれるようになった名称です。

円勢は、長勢の子（または弟子）であり、長円、賢円といった仏師を子（または弟子）に持っていました。

経歴

円勢は、仏師としての才能を早くから開花させ、数々の寺院の造仏に携わりました。

永保3年（1083年）：法勝寺の造仏における功績が認められ、法橋に任じられます。
康和3年（1101年）：鳥羽御堂で造仏を行い、柱絵を描きました。仏画にも秀でていたようですが、現在確認できる仏画は残されていません。この功績により、法眼に叙せられます。
康和4年（1102年）：尊勝寺の造仏における功績により、仏師として最高位である法印に上りつめます。その他、祇園社塔、金剛峰寺大塔、法成寺、白川新堂などでも造仏に参加しました。
天永4年（1113年）：京都清水寺の別当職に任命されますが、奈良興福寺の反対により、この任命は断念せざるを得ませんでした。

作品

円勢の作品は、残念ながら現存するものが非常に少ないのが現状です。

仁和寺薬師如来像（旧北院本尊、1103年（康和5年）製作）：長円を率いて製作した小像。

参考文献

谷信一「円勢法印考　木仏師研究の一節とし」『美術研究』30号
伊東史朗「仁和寺旧北院本尊　薬師如来檀像について」『仏教芸術』177号
「日本人名大辞典」講談社
「朝日日本歴史人物事典」朝日新聞社

外部リンク

平安時代仏師概論 - ウェイバックマシン（2005年1月4日アーカイブ分）

関連項目

北法相宗
兼慶

もう一度検索