円谷英明

円谷英明（つぶらや ひであき）氏は、1959年に生まれた日本の元実業家であり、特撮作品で知られる円谷プロダクションにおいて第6代目の社長を務めた人物です。彼は、ウルトラマンシリーズの生みの親として名高い円谷プロ創業者、円谷英二氏の孫にあたる、いわゆる円谷一族の一員です。

生い立ちと家族関係

円谷英明氏は、円谷英二氏の長男である円谷一氏の次男として誕生しました。彼の一族には、円谷プロおよび日本のエンターテインメント業界に深く関わる人物が多数います。祖父は創業者・円谷英二。兄には第5代社長を務めた円谷昌弘氏がいます。また、俳優として活動した円谷浩氏は実弟にあたり、円谷一美氏は妹です。さらに、従弟には第4代社長を務めた円谷一夫氏がおり、元歌手の円谷優子氏は従妹にあたります。このように、円谷英明氏は円谷プロダクションと深い血縁関係を持つ家系に育ちました。

キャリアと円谷プロダクションでの道のり

中央大学理工学部を卒業後、円谷英明氏は一度バンダイに勤務しました。その後、1983年に円谷プロダクションへ入社します。入社後は、関連会社である円谷エンタープライズの常務や、現在の円谷ドリームファクトリーの前身にあたる円谷コミュニケーションズの社長、そして円谷プロの専務取締役など、グループ内の重要な役職を歴任しました。長年にわたり会社の中枢で経験を積んだ後、2004年に円谷プロダクションの代表取締役社長に就任しました。これは、円谷プロの歴史において第6代目の社長就任でした。しかし、彼の社長在任期間は短く、翌2005年には社長の座を退いています。その後、円谷プロダクションが2007年に映像制作会社TYOの子会社となった際に、同社を離れることとなりました。

円谷プロ退社後の活動と著書

円谷プロダクションを離れた後、円谷英明氏は円谷ドリームファクトリーの代表として、中国市場における新たな事業展開を模索しました。特に、中国でテレビ番組制作を行うことを試み、その一環として日中合作の特撮ヒーロー番組『五龍奇剣士メタルカイザー』の企画・制作を手掛けました。しかし、様々な事情が重なった結果、この番組は最終的にテレビで放送されるには至りませんでした。円谷ドリームファクトリーの代表職は2010年に退任しています。

2013年には、これまでの経験や円谷プロダクションの内情について綴った著書『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』（講談社現代新書）を出版しました。この本の中で、円谷プロ内で発生した経営権を巡る混乱、いわゆる「お家騒動」の経緯や、自身が手掛けた中国での事業がなぜ頓挫したのかといった顛末について、自身の視点から詳細に述べています。

近年の動向

2018年の時点では、かつて円谷プロと海外での権利を巡って長年争っていたタイのチャイヨー・プロダクションの元社長、ソムポート・セーンドゥアンチャーイ氏と共に行動している様子が見られました。しかし、ソムポート氏が2021年8月に死去したため、それ以降の円谷英明氏の具体的な活動や動向については、現在明らかではありません。

著書

* 『ウルトラマンが泣いている 円谷プロの失敗』講談社現代新書、2013年

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